日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

1. 栄養・飼養

1. 栄養・飼養

[P1-25] ホルスタイン種搾乳牛における発情前および発情日の乳成分と受胎性の関連

〇武本 智嗣1、友永 省三2、松井 徹2 (1.全農飼中研、2.京大院農)

【目的】牛における受胎診断は、人工授精後25日以降に行われている。しかし、牛の発情周期は平均21日であるため、不受胎の場合は次回発情を見落とす可能性があり、より早期の受胎の有無の判定は生産性改善につながる。本研究では、非侵襲的に採材可能な乳汁における受胎の有無の判定のためのバイオマーカー探索を試みた。【方法】試験1では、ホルスタイン種搾乳牛7頭を供試した(3頭が受胎し、4頭が受胎しなかった)。これらの発情7、3、2、1日前、発情日の乳汁におけるGC/MSメタボローム解析を行った。試験2では、ホルスタイン種搾乳牛98頭を供試した(44頭が受胎し、54頭が受胎しなかった)。発情日の乳汁を採取し、試験1で受胎牛群と非受胎牛群間で差が認められたイノシトール濃度を測定し、乳量と一般乳成分も併せて検討した。これら項目について、受胎を予測する因子としての正確さをROC解析により評価した。【結果】乳汁中で39種の低分子代謝物質が同定された。発情1日前、発情日の受胎群の乳汁中イノシトール濃度は不受胎群に比べ低かった(試験1)。乳量、一般乳成分に差はなかったが、発情日の受胎群の乳汁中イノシトール濃度は不受胎群に比べ低く、乳汁中イノシトール濃度のAUCは0.7以上であり、中程度の正確さで受胎を予測可能であることが示された(試験2)。以上より、乳汁中イノシトールは受胎性と関係している可能性が示唆された。