日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

1. 栄養・飼養

1. 栄養・飼養

[P1-46] 筋肉内脂肪含量を評価項目とした肥育豚のリジン要求量の再確認

〇勝俣 昌也1、上野 隆嗣2、高橋 克明2、金子 政弘2、鈴木 武人1 (1.麻布大学獣医学部獣医学科、2.日本農産工畜産技術センター)

体重60~90kgの肥育豚の総リジン要求量推定値を0.80%であると第125回大会でわたしたちは報告した。また、リジン濃度が要求量よりも30%程度低い飼料を肥育豚に給与すると筋肉内脂肪(IMF)含量が高くなることも報告している。0.80%という新しい推定値を基準にすれば、総リジン濃度0.60%程度の飼料を給与すればIMF含量を高くできることになる。一方、日本飼養標準には体重70~115kgの総リジンの要求量は0.59%と記載されており、仮説が正しければ、0.59%ではリジンは不足することになる。本研究では、新しく推定したリジン要求量を基準にして調製したリジン不足飼料の給与で、肥育豚のIMF含量が高くなるかどうか検討した。平均体重51kgの肥育豚29頭を対照区とリジン不足区に割り振った。試験開始からの4週間、対照区には総リジン濃度0.82%、リジン不足区には0.63%の飼料を給与した。その後出荷するまでは、それぞれ0.75%と0.59%の飼料を給与した。試験期間中の日増体量は、対照区が873g/d、リジン不足区が797g/dとなり、リジン不足区のほうが低かった(P<0.01)。胸最長筋のIMF含量は対照区が3.5%、リジン不足区が5.4%であり、リジン不足区のほうが高かった(P<0.01)。このように新しい推定値を基準としたリジン不足飼料の給与でIMF含量を高くすることができた。