[P1-53] 微生物発酵生成物(ビタコーゲン)の給与が採卵鶏の卵黄中脂質に及ぼす影響
【目的】微生物発酵生成物であるビタコーゲン(VC)((株)セイワ製)の採卵鶏への添加給与は,飼料摂取量の増加による体重増加の可能性が示されている.しかし,VCの給与が卵黄中の脂質に及ぼす影響は明らかでない.そこで本研究では,VC添加給与による卵黄中の脂質組成を調べた.【方法】35週齢のボリスブラウン40羽を供試鶏に,採卵鶏用飼料にVCを乾物当たりで1%添加する試験区と無添加の対照区を設定し,各区5羽の4反復で190日間の給与試験を行った.試験開始182日後に産卵性を測定し,各区から10個ずつ採卵し,卵質,卵黄中の脂質を測定した.【結果】産卵率,飼料摂取量および卵質の各項目に有意差は認められなかった.一方,試験区は対照区より,卵黄総脂質中のパルミチン酸含有率が高く,リノール酸含有率が低かった(p<0.05).他方,卵黄総脂質中のコレステロールおよびホスファチジルコリン含有率に有意差はなかった.VCに豊富に存在する酵母や乳酸菌が鶏体内においてモノグリセリドを産出し,パルミチン酸の肝臓への吸収を促進し,飼料中のパルミチン酸の利用効率を向上させたと考えられた.また,VC由来の微生物が体内においてリノール酸を飽和化代謝し,卵黄中リノール酸含有率が低下したと考えられた.したがって,VCの添加給与は飼料中の脂質の利用効率を向上させ,卵黄総脂質中のパルミチン酸含有率を向上させる可能性が示唆された.