日本畜産学会第128回大会

講演情報

企業協賛シンポジウム

企業協賛シンポジウム1
エコフィードが拓く持続可能な畜産物生産

2021年3月29日(月) 09:00 〜 12:00 ライブ配信

座長:熊谷 元(京大院農)、川島 知之(宮崎大学農)

協賛:キユーピー株式会社
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パスコード:329374

[SSY1-01] エコフィードの新しい取り組み -未利用原料の開発事例-

〇高橋 慶1 (1.有限会社 環境テクシス)

現在、多くの食品廃棄物などが収集、加工されエコフィードとして活用されるようになってきている。しかしながら、飼料として有用でありながらまだ利用されていない未利用資源は数多くあり、それらの有効利用が課題となっている。 成分分析および消化性試験などによる評価、保存性などの取扱性向上により飼料としての利用が可能となる。このような開発事例を紹介するとともに、実際の農家での給与状況などを紹介する。

カットフルーツマーケットの伸張により、パイナップルの加工残さの発生量が増加している。カットフルーツ製造時、皮、芯が約50%程度廃棄されている。そのままでも牛の嗜好性は非常に良好であるが、取扱が難しく主にこれまでの利用は大規模TMRセンターでの利用が中心であった。パイナップル粕、密閉袋詰することによりサイレージ化を行った。サイレージの保存性は良好であり、乾乳牛の消化試験において非常に高い消化性が確認された。パイナップル脱水時に発生する脱離液はほぼ純粋な糖液であり、豚のリキッドフィードにおいてエネルギー源として利用されている。
カット野菜もマーケットが拡大しており、食品廃棄物の発生量が増加している。ゴボウのカット工程で発生するゴボウ残渣を脱水、サイレージ化を行った。ゴボウは糖含量が高く、高品質なサイレージとなった。消化性も良好でイネ科牧草代替として利用が進んでいる。
乾燥ビール酵母は古くから飼料利用されているが、乾燥工程にかかるコストのため高価格であり配合割合を高めることが難しかった。ビール酵母を液状のまま豚のリキッドフィードの原料として配合することで、タンパク源として大豆粕代替として利用を行っている。ビール酵母は大豆粕同等の発育生育であり、大豆粕と比してリノール酸含量が低いことから肉質の向上も期待できる原料である。



略歴:名古屋大学農学部、排水処理プラントメーカーを経て2005年に食品リサイクルを行なう有限会社環境テクシスを設立、代表就任。全国でエコフィード開発に取り組んでおり、未利用資源の飼料化の実績を多数有している。また、関連会社でエコフィード100%給与による養豚を行っている。