国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

教育(日本語)

2023年11月11日(土) 09:30 〜 11:30 紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)

座長:小川 啓一(神戸大学) コメンテーター:坂上 勝基(神戸大学)、黒田 一雄(早稲田大学)

10:00 〜 10:30

[1C02] 授業形態別にみた教育効果の検証:バリ島における環境教育を事例に

*栗田 匡相1 (1. 関西学院大学)

キーワード:環境教育、社会実験、経験学習、バリ島

次世代を担う若者達が環境問題や自然環境保護への理解を深めることは極めて重要である。とりわけ環境保全に割ける予算が限られる途上国や中進国においては、環境教育に十分な効果が認められれば、比較的安価な形で実行可能な効果的な環境施策となりうるだろう。そこで、本研究では、インドネシアのバリ島西部ジュンブラナ県の小学校9校において、短期の環境教育授業を実施し、その教育効果について社会実験の手法を用いて計測した。その際に、授業形態を2種類用意して実験を行った。①環境保全の重要性を座学のみならず実際にマングローブの植林を経験しながら学習したグループ(経験学習型)、②環境保全の重要性を座学のみで学習したグループ(座学型)、③比較対象グループ(介入無し)の3つのグループを設定した。実験では授業介入の前に、環境知識などを問うテストを行い、授業(座学は60分授業を1回)を行ってから2週間後、半年後の2時点で再度同レベルのテストを行うことで知識の定着や変化を測定した。2週間後の時点では、①、②のグループ共に知識の改善が見られたが、その改善率は①の経験学習型が最も大きかった。6ヶ月後の時点では、②の座学型は知識改善効果が消えていたが、①の経験学習型には統計的に有意に学習効果が継続していた。座学のみの授業提供に比べて、地域における体験型の環境学習を少ない頻度でも行うことが出来れば、その教育効果が中長期間持続することが判明した。こうした経験学習型のプログラムを現地の実情にあわせて安価な形で実行することは十分に可能であり、政策的意義の大きな研究となった。

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