国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

経済(日本語)

2023年11月11日(土) 09:30 〜 11:00 紀-B112 (紀尾井坂ビルB112)

座長:西浦 昭雄(創価大学) コメンテーター:山形 辰史(立命館アジア太平洋大学)、會田 剛史(一橋大学)

10:00 〜 10:30

[1E02] 生成系AIの勃興がもたらす開発途上国への影響の考察:機会と脅威

*内藤 智之1 (1. 神戸情報大学院大学)

キーワード:デジタルエコノミー、マクロ経済政策、情報通信技術、アフリカ経済、デジタルデバイド

2022年秋に公開されたChatGPTは、現時点での処理能力だけでなく、その計り知れない拡張性や発展可能性から、世界中に大きな衝撃を与え続けている。
これまで訓練された人間によって行われてきた事務作業や手続きの多くは、生成系AI(人工知能)の普及によって人からAIへの急速な置換が進むことが見込まれており、日本国内でもその実績が報告され始めている。それは民間企業における定型的な事務作業のみならず、公的機関による過去事例に基づく企画立案作業や、専門性の高い職種のスキルさえAIによって置き換えられる可能性が有り得る。これはすなわち、AIを利活用する企業経営者にとって生産性の上昇による利潤の最大化追求機会の増加になり得る一方で、一般従業員にとっては失職可能性さえ高まるトレードオフ的な脅威にもなり得る。
2023年5月に広島で開催されたG7サミットにおいても、この問題については政府による何らかの介入やルール作りの必要性が、先進国リーダーたちによって公式に議論され始めた。
一方、生成系AIの勃興による機会と脅威が開発途上国にとってどのような影響を与え得るのか、議論はまだ深まっていないのが実態である。例えばアフリカ諸国においては、そもそも電力および高速インターネットなどの主幹インフラがまだまだ不足しており、多くの国で若年層の就業機会は限定的であり、生成系AIを多用するための前提条件は必ずしも揃っていない。
先進諸国で生成系AIの利活用が進み、ルール作りが整備されていくに従い、開発途上国と先進諸国の間における経済格差はこれまで以上に広がる可能性は低くない。
かかる現状の中で、今後の生成系AIの普及拡大を見据え、開発途上国(特にサブサハラ・アフリカ地域)におけるデジタル経済政策はどのようにあるべきか、生成系AIが与え得る格差拡大可能性によって生じ得る機会と脅威について、関連国際会議等での専門家意見なども踏まえた考察を報告する。

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