The 34th JASID Annual Conference

Presentation information

Oral presentation

Water and Sanitation (Japanese)

Sat. Nov 11, 2023 9:30 AM - 11:30 AM 紀-108 (Kioizaka Bldg 108)

Chair:Elli SUGITA(Osaka University) Commentator:Keiko NISHINO(Kwansei Gakuin University), Ryuji OGATA(Japan International Cooperation Agency)

9:30 AM - 10:00 AM

[1H01] Potential for Household-Based Water Supply Services in the Southwest Coastal Region of Bangladesh: A Comparison of Pond Sand Filters and Reverse Osmosis Water Supply Systems

*Shota YAMADA1 (1. Rikkyo University)

Keywords:Maintenance costs, Willingness to pay, Purchase of water, Co-management, Salinity

バングラデシュ南西沿岸部は塩害に起因する飲料水問題が深刻である。そこで、援助機関や個人が問題解決に向けて給水施設を設置している。先行研究では、村民による給水施設の受容態様や維持管理費の支払い可能額、村民による維持管理費の不払いに起因する給水施設の放棄や機能不全となる事例の報告がある。しかし、どのような給水施設や飲料水の提供方法であれば、村民が費用を支払うのかという、支払い意思を生じさせるメカニズムへの着目はなされてこなかった。そこで、本研究ではこの点を解明すべく、バングラデシュ南西沿岸部からシャムナゴール郡のC集落での悉皆調査(全47世帯)を2023年に実施した。
 C集落では、2003年にNGOが共同管理を前提とする池水砂層濾過装置(pond sand filter: PSF)を設置し、全村民が飲料水源として利用していたが、維持管理費を支払わずに利用する村民が多く存在した。このため、PSFの維持管理を行う世帯が、村民による利用を2021年に禁止し、不稼働となっていた。なお、このPSFでは、年間に2~3回の清掃と0~250 BDTの維持管理費の徴収が行われていたため、その年間の最大徴収額は750 BDTであった。 PSFの不稼働後に、C集落の39世帯(約87%)は、NGOや個人が近隣の他集落に設置している地下水を逆浸透(reverse osmosis)膜で濾過する給水装置(RO給水施設)から水を購入していた。なお、これらのRO給水施設では、購入した各世帯の自宅まで1 BDT/ Lで水を配送していた。なお、C集落の購入世帯では、年間に平均して3,173 BDT(世帯の平均年間所得の5.31%)の支払いを行っていた。換言すると、C集落のRO給水施設の利用世帯は、PSFの維持管理費よりも高額な費用を水の購入に支出していたのである。
 以上から、バングラデシュ南西沿岸部の村民には、飲料水に対する金銭の支払い意思があるが、これを生じさせるためには、給水施設の共同管理ではなく、世帯単位の給水サービスを実施することが重要であると考えられる。

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