国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

海洋文化・先住民族(日本語)

2023年11月11日(土) 09:30 〜 11:00 紀-404 (紀尾井坂ビル404)

座長:関根 久雄(筑波大学) コメンテーター:佐藤 敦郎(九州大学)、東方 孝之(アジア経済研究所)

10:00 〜 10:30

[1L02] コミュニティベース海洋環境教材の国際ネットワーク化に関する研究

*小林 かおり1 (1. 椙山女学園大学)

キーワード:コミュニティ、海洋環境保護活動、環境教材、海洋リテラシー、国際ネットワーク化

World Economic Forum(2016)の報告書によれば、世界では年間800万トンから1,200万トンの海洋ごみが発生している。その8割が陸地で発生したごみであり、そのごみの約7割はペットボトルやレジ袋などプラスチックごみである。環境省が実施した漂着ペットボトルの製造国別割合や漂着量の調査によると、同じ日本国内であっても海流や地形によって流れ着くごみの状況や漂着ごみの発生源も異なる。以上のことから、海洋環境の保全には、自国のコミュニティベースの取り組みにとどまらない国境を越えた取り組みも必要である。
 近年、マイクロプラスチックなど海洋環境の問題は、科学的な分析に基づく現状把握が進められているが、海洋環境への対策は科学的な分析のみならず、地域住民の理解や参加といったローカルかつ社会的な観点も不可欠である。海洋リテラシーに基づくローカルな取り組みが、国境を越えた体系へと構築されていくことは国内外の課題である(Guest et al. 2015 他)。海洋環境プログラムや教材づくり、そしてその評価研究は重要であるにもかかわらず、国内の状況を見渡すと現時点では不足していると言われている分野であり、今後さらなる研究が必要である。
 筆者は、日本国内では西表島を中心に、国外では、台湾およびオーストラリアの大学と協働して四つの国や地域における八つの拠点で海洋環境保護活動に関する取り組みを調査している。これらのフィールドでは、海洋環境保護活動だけでなく海洋環境教材のテーマや扱い方にも違いが見られた。海洋漂着ごみの問題は国境を越える課題でもあることから、環境教材を作成する際には国境を越えて考えていくことができる内容であることが重要なポイントになる。
 本研究の目的は、海洋漂着ごみをテーマとした環境教材が国際ネットワーク化するためにはどういった要素が重要であるか海洋環境リテラシーの観点から明らかにすることである。

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