国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

オンライン(日本語)

2023年11月11日(土) 09:30 〜 12:00 紀-409 (紀尾井坂ビル409)

座長:高柳 彰夫(フェリス女学院大学) コメンテーター:戸田 隆夫(明治大学)、高橋 基樹(京都大学)

09:30 〜 10:00

[1N01] インドネシア・リアウ州における泥炭火災予防:現状・課題・対応案

*久保 英之1、Albar Israr2、Kurniawan Anung 2 (1. JICA専門家、2. インドネシア国環境林業省)

キーワード:泥炭火災、火入れ抑制、村落消防団

1. 研究の背景およびリサーチクエスチョン 2015年の大規模泥炭火災を受け、インドネシア政府は火入れ行為の制御と泥炭地の水位回復という政策的措置を実施した。前者は法執行とインセンティブ導入からなり、現時点で土地管理者による火入れ行為は大幅に減少している。一方、外部者の火の不始末による火災は十分な対応が出来ていない。本研究では、火入れ行為減少の理由を把握し、特に住民組織が担った役割について分析する。また、外部者に起因する火災の対策において住民組織が果し得る役割について検討する。 2. 資料・情報および分析方法 本発表は、インドネシア・リアウ州の泥炭地帯であるシアック県のうち、過去5年間の火災頻度が高い4村を対象とする。各村には住民組織である村落消防団が設置されており、現在、団員への半構造インタビューを実施中である。また、主な土地利用として農園と畑作地を特定し、任意で選んだ土地管理者への半構造インタビューを実施している。本発表は、インタビュー結果を定性的に分析したものである。 3. 得られた知見 現時点では仮説的な知見となるが、以下のとおり考察する。 火入れ行為の減少について、政府が林野消防署に加えて軍・警察を導入して実施した法執行措置を土地管理者が認識し、受け入れたことが最大の要因である。但し、受け入れに際しては村落消防団員による度重なる説得が機能し、政府との間でコンフリクトに至ることは避けられた。 外部者による火の不始末はまだ十分な対応が出来ていないが、火災の早期発見早期消火に関しては、植林企業が設置したタワーの監視員と地域住民が煙を発見した場合には直ちに村落消防団員に通報するという体制が機能している。 外部者へのアプローチについては、村落消防団のみでは難易度が高く、多くの集落住民が対応できる体制を整える必要がある。また、県・州がイニシアチブを取り、外部者による火の不始末へ対応する集落住民の体制と活動を広く周知することで、活動の有効性を高めることが望ましい。

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