The 34th JASID Annual Conference

Presentation information

Oral presentation

Online (Japanese)

Sat. Nov 11, 2023 9:30 AM - 12:00 PM 紀-409 (Kioizaka Bldg 409)

Chair:Akio TAKAYANAGI(Ferris University) Commentator:Takao TODA(Meiji University), Motoki TAKAHASHI(Kyoto University)

10:30 AM - 11:00 AM

[1N03] Mapping the agenda and necessary conceptual discussions for International Cooperation based on the CRPD
- Analysis on the texts of concluding observations and constructive dialogues

*Kentaro FUKUCHI1 (1. Japan International Cooperation Agency (JICA))

Keywords:The Convention on the Rights of Persons with Disabilities, Disability Mainstreaming, The Human Rights Model of Disability

2022年9月、障害者権利条約委員会から日本政府の条約の実施に関する初回審査に関する総括所見が発表され、国際協力における障害の主流化、障害者団体との協議などが主な改善点として勧告された。
障害者権利条約は国際協力に関する個別条項を有する初の人権条約である。また「誰一人取り残さない」を掲げるSDGsでは5つのゴールで障害者に明示的に言及するなど、SDGs達成には障害分野の国際協力は不可欠な課題である。
しかし、国際協力への障害の主流化、障害者の国際協力への参加等が条文(32条)で求められるものの、実質的な内容や課題、概念的な議論はいまだ発展途上である。
そこで本稿では障害者権利条約32条(国際協力)に関する障害者権利委員会、各国政府、市民社会による審査過程の分析を通じて、障害者権利条約に基づく国際協力を深化させるうえでの論点整理を試みた。
2011年4月の第5会期から2022年9月の第27会期に実施された障害者権利委員会から各国政府に出された110件の総括所見の32条該当箇所のキーワードを抽出、分類し、頻度及びキーワードの意味合いを検討し、中心となる論点を分析した。
あわせて主に障害分野の援助供与国8か国1地域と、援助の受け取り国として性格の強い7か国の審査過程を分析し、援助の供与国、受け取り国双方における課題の分析を行った。
結果として、①国際協力における制度的な障害の主流化、②各国におけるSDGs達成に向けた取り組みへの障害者団体の参加、③国際協力の計画、実施、評価における障害者団体の制度的な意味ある参加と協議、④障害者権利条約と整合性のある国際協力の実施、が共通する論点として明らかになった。
また、①障害者の意味のある参加と協議、②国際協力における障害の人権モデルの位置づけについて概念的、実践的な議論を深めることが今後の障害者権利条約に基づく国際協力の発展に求められることが明らかになった。

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