The 34th JASID Annual Conference

Presentation information

Poster presentation

Poster Presentation (Core time: 11:45-12:45)

Sat. Nov 11, 2023 9:30 AM - 1:00 PM Poster1 (Canteen, 5th floor, Bldg #2)

*Poster presenters need to stay in the session during the core time (11:45-12:45).
*Posters will be displayed during the reception (18:30-20:30).

[1R13] Development Pluralism in the Republic of Palau: Focusing on interdependence with aid donors and the community

*Maya Igawa1 (1. The University of Tokyo)

Keywords:Aid Effectiveness, Pacific Island Countries, Marine Resources Management, Aid Dependency, Development Pluralism

太平洋島嶼国のパラオ共和国は、近年著しい経済成長を遂げた一方で、依然としてドナー諸国からの対外援助に高く依存している。小島嶼開発途上国は、一般的に脆弱性や狭小性など固有の特性を抱えていることから、個々の事情に応じた援助が必要であるとされるが、ドナー諸国は必ずしもそれに応えられていない。当該地域への援助に関する先行研究は、島嶼諸国が有する特性や開発援助受け入れの状況を明らかにしたが、パラオが自らの開発の文脈において、ドナー国の援助ニーズと格闘しながらどのように自らの発展の道を見出しているかについてのプロセスはほとんど明らかにされていない。
 そこで本研究では、パラオが主要ドナー国の援助ニーズをどのように捉え、自国の開発戦略とどのように調整し実践してきたかという問いに答えるため、主に日本・米国による援助の様態と変容に加え、パラオが重要視する海洋資源政策を軸に、それを担ってきた同国政府の政策および地域社会を動態的・通時的に捉え、それらの連動について分析する。主として援助国・被援助国の政府一次資料と報道資料の文献調査および地域関係者のインタビュー調査を実施した。
 その結果、パラオは自国への対外援助が地政学上の安全保障のニーズに依るものであることを自覚しながらも、自国の開発ニーズとは区別する形でドナーとの双方向による援助依存の構造を維持しようとすることがわかった。加えて、主要ドナー国が複数存在し、各々の援助ニーズが一致しないことが、かえってそれらのニーズに対処するパラオ側の援助獲得戦略に対する動機を高め、政策を取捨選択する上での開発知が生み出されやすくなることが明らかになった。援助国である日本・米国もまた、被援助国の経済的自立を建前としながら、自らも援助の提供に依存しているともいえる。これらの視点は、太平洋島嶼国の開発に有用な援助のあり方を検討するうえで重要な含意を提供しうる。

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