[1R19] フィリピンの若者が困難な状況を乗り越えるためのパターン・ランゲージの作成
キーワード:フィリピンの若者、パターン・ランゲージ、エンパワメント
本研究の背景は、未だ数多くいる学校に通えないフィリピンの若者が抱える問題である。家族を養うために働かなければならなかったり、早期妊娠・出産・結婚により学校に通えないフィリピンの若者(16~24歳)が330万人いると言われている。また、一度学校をドロップアウトすると、犯罪につながる確率が高くなったり、自身が家族を持った時に、さらに貧困に陥ってしまうことがわかっている。そこで本研究では、困難な状況を乗り越えて、自立的に生きているフィリピン人に焦点を当て、彼らがどのようなよい実践を行っていたのか解明した。 調査方法は、実践の経験則を体系化し、言語化する方法であるパターン・ランゲージを用いた。調査対象は、フィリピン・ミンダナオ島で職業訓練校を運営している方に依頼し、家庭環境や経済的な困難を抱えながらも様々な工夫をしたことで乗り越え、現在自立的に暮らせており、現地の若者にとってロールモデルとなるような方を紹介していただいた。2022年11月22日から2022年11月30日にフィリピンへ渡航し、困難な状況を乗り越え自立的に暮らしているフィリピン人10名(女性3名、男性7名)と若者支援に携わっているフィリピン人3名(女性2名、男性1名)の計13名に対話型インタビューを行った。 インタビューで語られたことをもとに、①困難な状況のなかでも、それを乗り越え自立的に暮らしていくために大切なことは何か、②①のことを実現するために、どのような実践をしているのか、③その実践がなぜ重要なのか、3つの観点で実践の型を抽出した。その結果、「今の現状を事実ベースで捉え、今できることを着実にやり達成する」「適切な他者の力を借りて状況を好転させていく」「困難が生じても、また乗り越える」という大きく3つの大切なことが抽出され、それぞれに紐づく9つのパターン(実践の型)が明らかになった。
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