国際開発学会第34回全国大会

講演情報

ラウンドテーブル

「持続可能性」の多義性を問う

言説分析、認識調査、評価の先に何を見るか

2023年11月12日(日) 12:45 〜 14:45 紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)

12:45 〜 14:45

[2C02] 「持続可能性」の多義性を問う-言説分析、認識調査、評価の先に何を見るか

*山田 肖子1、*島津 侑希2、*米原 あき3、*西川 芳昭4、*工藤 尚悟6、*木山 幸輔5 (1. 名古屋大学、2. 愛知淑徳大学、3. 東洋大学、4. 龍谷大学、5. 筑波大学、6. 国際教養大学)

キーワード:「持続可能性」概念、基底価値、多義性、学際的検討

1. 企画の背景 Background
「持続可能性」という言葉は、いまや一般用語として我々の生活に入り込んでいる。しかし、この一見、美しく道義的な言葉は、対立する発展観や社会像、そして利害を内包している。これらを精査し、「持続可能性への貢献」を標ぼうする様々な行為をマッピングすることは、国際開発学を現代的に文脈化するうえで重要ではないだろうか。

2. 主要な論点  Main points to be discussed
本セッションでは、発表者及び討論者が着手している萌芽的な研究の発想や試行を共有しつつ、参加者とともに意見交換をすることを目指す。

この研究では、持続可能な社会を思い描く際に、人々の思考の根底にどんな価値観があるか、そしてその価値観をもとに、個々人がどのように持続可能性を脅かす可能性のある課題とその解決策を認識するかをストーリーラインとして把握することを目指している。このストーリーラインは、文化の違う社会や職業などによっても異なる。長期的には、文化および職業集団ごとに「持続可能性」価値の認識の違いをもたらす要因を個別に深堀りしつつ相対的に比較することを目指すが、今回のラウンドテーブルでは、メンバーそれぞれの専門領域で試みた研究例を提示して議論の題材としたい。  

一つ目の山田・島津発表は、持続可能性の基底価値や課題認識とそれに基づく行為を把握するため、インターネットから取得した文書で「持続可能性」という概念と共起性の高い概念を中心に、フィリピンとガーナの都市居住者200名に行ったオンライン質問紙調査の結果である。  

二つ目の米原発表では、持続可能性の基底価値に立ち返ってSDGs評価の在り方を問い直すため、説明責任、エビデンス、合理性といった評価にまつわるキーワードをめぐる理論考察を行う。  

三つ目の西川発表では、持続可能性の議論のトピックとしてよく取りあげられる食 と農のシステムについて、英語圏教科書の例を読み解き、持続可能性への貢献を 標榜する多様な陣営の対話の困難さを描写したうえで、脱人間中心主義の視点か ら今後の研究の方向性についての提言を行う。

3. 期待される成果 Expected outcome of the session
発表者の研究をきっかけに、フロアからも意見をいただいて、「持続可能な開発」概念と価値についての今後の研究の方向を議論できたら幸いである。

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