15:30 〜 16:00
[2M10] カンボジア・つばさ橋建設をめぐる環境社会配慮と事業化検討プロセス
キーワード:カンボジア、つばさ橋、ODA、環境社会配慮、事業化決定
本研究では南部経済回廊のボトルネックとなるメコン川渡河地点にて2015年4月に開通したカンボジア・つばさ橋が、2001年12月の要請から日本政府としての意思決定となる2010年6月のEN署名までに長い検討期間を要することになった要因に注目した。①現況交通量把握の手法や将来交通需要予測がJICA環境社会配慮審査会における重要な審議事項となったこと、②有償資金協力ではなく無償資金協力で実施となったことでより慎重に審議されたこと、の2つの視点に着目し、分析にあたっては、環境社会配慮審査会議事録、外務省の大臣・副大臣等の要人面談記録、国会質問など、ウェブサイトで公開されている資料を中心に、カンボジア政府、日本政府・外務省、JICA、環境社会配慮審査会やその他ステークホルダーの意見・意思や検討過程を相互の関連性も意識して行った。
この結果、2020年度に外部評価者により行った事業事後評価では言及できなかった、交通需要予測の精度や適切な着工時期を見極めるために約2年間の時間と追加の費用をかけて交通量モニタリングを実施することに至った経緯を明らかにした。
本研究から得られた教訓として、第一に、フェリー待ちを余儀なくされている利用者や地元の人々の橋梁開通を待ち望む声を丁寧に拾い上げ、地元メディア等を通じた現地の声を日本のステークホルダーに届けること、第二に、データに基づく現況交通量の把握や、科学的手法に基づく将来交通需要予測に疑義を抱く人々に対し、ODA実施機関としての説明責任の観点からも説明能力を強化すること、第三に、実施機関として、案件の必要性だけでなく、実施のタイミングに意識を高くもつこと、が挙げられる。特に、無償資金協力を実施する緊急性が高いことを検証するために2年間の時間をかけてモニタリングを実施するというのは大きな課題であった。
この結果、2020年度に外部評価者により行った事業事後評価では言及できなかった、交通需要予測の精度や適切な着工時期を見極めるために約2年間の時間と追加の費用をかけて交通量モニタリングを実施することに至った経緯を明らかにした。
本研究から得られた教訓として、第一に、フェリー待ちを余儀なくされている利用者や地元の人々の橋梁開通を待ち望む声を丁寧に拾い上げ、地元メディア等を通じた現地の声を日本のステークホルダーに届けること、第二に、データに基づく現況交通量の把握や、科学的手法に基づく将来交通需要予測に疑義を抱く人々に対し、ODA実施機関としての説明責任の観点からも説明能力を強化すること、第三に、実施機関として、案件の必要性だけでなく、実施のタイミングに意識を高くもつこと、が挙げられる。特に、無償資金協力を実施する緊急性が高いことを検証するために2年間の時間をかけてモニタリングを実施するというのは大きな課題であった。
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