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[2N03] インドネシア国アッパーチソカン揚水発電所建設に関わる原石山の補償問題
キーワード:水力発電、原石山、エンクローチャー、セーフガード政策、土地補償
インドネシア国ジャワ島では、再生エネルギ―の進展に伴う電力需要のバランスを緩和するため、同島西部に1,040MWのアッパーチソカン揚水発電所(UC)の建設を開始した。上部・下部の2つダムと水路、地下発電所からなり、コンクリート骨材約400万トンを原石山から供給する。この原石山は1980年代にS発電所の建設に使用され、その後も所有が継続されている。しかしながら、2022年7月にこの土地が事業者からUCの建設請負者に委譲されたあと、住民(エンクローチャー)による水源または耕作地としての土地占有が進んでいることが明らかになった。事業者は、原石山の再使用にあたって、過去に一度補償が行われた土地を再補償することと、建設請負業者に委譲された土地が不完全である(一部補償が済んでいない)ことが公に知られることに強い懸念を示した。そこで、筆者らエンジニア(技術およびプロジェクトマネジメントを担当)が、融資銀行団のセーフガード政策に従って補償を進めることを事業者に説得した。一方、住民は過去にS発電所建設の補償交渉において事業者と揉めたことから、今回は住民自らが資産調査を実施し、審査を担当する第三者期間にも連絡を取っていた。それでも補償を躊躇する事業者に対して、エンジニアは事業者・エンジニア・建設請負者からなる特別チームを構築することを提案し、その活動を主導した。2023年5月に住民説明を開始したが、住民内で2つのグループが反目したことから、コミュニティ内に特別チームを作ることを提案した。ここに、同種の事業経験の少ない事業者に対してリスクと具体的な解決方法を粘り強く説明することが重要である。次に、過去の経緯を知り補償の成功事例を示すことが、事業者を適正な解決の方向に導くことがきる。最後に、関係者からなる特別チームつくりエンジニアが主導することが関係者間のコミュニケーションを活性化する。
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