国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

平和構築、レジリエンス(日本語)

2023年11月12日(日) 15:00 〜 17:00 紀-409 (紀尾井坂ビル409)

座長:湖中 真哉(静岡県立大学) コメンテーター:松本 悟(法政大学)、桑名 恵(近畿大学)

15:00 〜 15:30

[2N06] 特定地域における民族間の勢力均衡論(ドミノ式)についての一考察 -勢力均衡のパターン分析を中心にー

*安部 雅人1 (1. 東北大学)

キーワード:民族間の勢力均衡、社会権力(政治・経済・治安)、社会変化、少数民族

特定地域における民族間の勢力均衡の関係について、 (仮称)特定地域における民族間の勢力均衡論(ドミノ式)について論じてみる。ここでは、他の勢力均衡のパターンも含めて3つに分類している。
 ①パターンは、ある特定地域において民族構成の点で、Aの方が多いものの、Bは、社会権力(※政治・経済・治安)を支配しているために、それを利用することで、両者は、勢力均衡の状態にある。この場合、社会変化をきっかけにAがBに対して攻撃を仕掛けたとしても、Bは、容易にAを弾圧し鎮圧することができる。事例としては、中国新彊ウイグル自治区におけるウイグル人と漢族の関係、イスラエルにおけるパレスチナ人とユダヤ人の関係等を挙げることができる。  
 ②パターンは、特定地域において民族構成は、AとBが拮抗していてほぼ同じであり、両者が勢力均衡の状態にある。人口のバランスが均衡を保っているが、社会変化をきっかけにして全面的な衝突になりやすい構造にある。事例としては、旧ユーゴスラビアにおけるセルビア人とクロアチア人との関係等を挙げることができる。両民族共に良き隣人として平和裡に社会生活を営んでいたものの、冷戦の崩壊をきっかけにして、民族主義が台頭するようになると、互いに拮抗している両者が対立するようになり、最終的には、全面的な戦闘状態となる。  
 ③パターンは、特定地域において民族構成は、Bが多数を占めており、Aは、少数であることから、Bの社会の中で埋没している状態にあり、Bの社会に適応して生活している。社会環境が変わったりすると、Bの社会では、Aは、真っ先に排除される。事例としては、東アフリカの小国ルワンダで起きた大虐殺事件等がある。この場合、少数派トゥチ人が多数派フゥツ人の社会に埋没して生活していたものの、社会環境が変化した時、トゥチ人は、フゥツ人からの一方的な攻撃を受け、民族として抹殺され社会的に排除される存在となる。

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