4:30 PM - 5:00 PM
[2N09] The earthquake, tsunami, and reconstruction as a global knowledge (How can we make it relevant to developing countries?)
Keywords:Knowledge and development, Knowledge management, Outreach, Normalcy Bias, Role of community
1990年代末、ICTの急速な発展に伴って「開発と知識」、「貧国削減のためのナレッジ・マネジメント」の議論が盛んになり、世銀が世界開発報告(1998)のテーマとし、さまざまなイニシアティブが立ち上がった。それから四半世紀近く、今やICTは当たり前の存在になっており、インターネットを通じた情報、データへのアクセスがなくては開発や貧困削減の議論は事実上不可能になっている。しかし、開発に必要な知識、特に経験から得られた知識が、研究者や専門家でだけではなく、専門家ではないものの、実際にかかわらなければならない実務家、市民活動従事者、あるいは幅広くエイドワーカーが利用できるような形で整理されているだろうか? 本研究は、上記の問題意識に基づき、ケーススタディーとして、防災・復興の見地から途上国も含め世界中から注目を浴びた東日本大震災を取り上げ、防災や復興に関する知識が、世界の、特に途上国の実務家、従事者などが幅広く利用できるような形で整理され、実際に役立ちうるかについて、これらの知識のアウトリーチ施設として位置付けられ、JICAの防災研修でも利用されている「震災遺構(伝承)施設」三十数か所の調査を通じて、分析、考察を行ったものである。 調査、分析、考察を通じて、避難の失敗例(犠牲者が出た施設)が大部分取り壊され、避難の成功例のみが遺されていることが新たな認識バイアスを生みかねないこと、資金や人材に乏しい途上国にとって有用と思われる防災、復興に際してのコミュニティーの役割が重視されていないことことなどにより、世界、特に途上国が利用可能な知識の共有に問題を生じていることを明らかにし、改善策を提示する。
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