09:15 〜 09:30
[IIYS-02] Leptin p.A80Vは熊本系褐毛和種のBMSに影響する
【目的】多くのウシ品種でLeptin遺伝子の多型が枝肉形質を含む経済形質に効果を持つことが報告されているが, 熊本系褐毛和種における多型性やその効果は不明である. そこで, 本研究では本品種を対象とした多型探索を行い, 多型が経済形質に及ぼす影響についても調査した. 【方法】血縁関係のない褐毛和種8頭を選抜し, 塩基配列決定に供した. 同定された多型については褐毛和種313頭を対象に遺伝子型判定を行い, 枝肉形質 (枝肉重量, ロース芯面積, バラ厚, 皮下脂肪厚, 歩留基準値, BMS, BCS, 肉の光沢, 肉の締まり, 肉のきめ, BFS, 脂肪の光沢と質) に対する効果を検証した. 【結果】 多型探索の結果, 熊本系褐毛和種ではLeptin遺伝子の翻訳領域内に1個のミスセンス変異と4個のサイレンス変異が同定された. これら多型の内, ミスセンス変異 (c.239C>T: p.A80V) ではBMS (p = 0.01), 肉の光沢 (p = 0.04), 肉の締まり (p = 0.01), 肉のきめ (p = 0.04) に有意な効果が認められた. この多型の遺伝子型頻度はA/A型が0.86, A/V型が0.13, V/V型が0.01だったが, BMS はA/A 型 (4.60 ± 0.10) が A/V型 (3.89 ± 0.25) に比べ有意に高い値を示し, その他の形質についても同様の結果だった. 従って, 調査した形質においてはA型が熊本系褐毛和種の優良対立遺伝子であると考えられた.