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[IIYS-03] 熊本系褐毛和種の毛色を制御する因子についての研究
【目的】熊本系褐毛和種は毛色が褐色の品種だが, その分子基盤は完全には解明されていない. 本研究では本品種の毛色制御機構を理解するため, 毛色関連遺伝子であるMC1R, COPA, PMEL遺伝子における5個の多型の多型性を調査し, これら多型の経済形質への効果についても検証した. 【方法】褐毛和種313個体を対象としたPCR‐RFLP法による遺伝子型判定を実施し, 遺伝子型と枝肉形質 (枝肉重量, ロース芯面積, バラ厚, 皮下脂肪厚, 歩留基準値, BMS, BCS, 肉の光沢, 肉の締まり, 肉のきめ, BFS, 脂肪の光沢と質) の相関を解析した. 【結果】本研究で用いたサンプルではMC1RおよびCOPAの多型性は確認されず, 本品種の毛色がMC1R c.310G>-の欠失型であるeアリルに起因することが示唆された. 一方, PMELのインデルでは挿入型 (+) と欠失型 (-) の両方が観察され, 遺伝子型頻度は+/+型が0.68, +/-型が0.30, -/-型が0.02だった. この多型は肉の光沢と締まりに有意な効果を示した. 肉の光沢は+/-型 (3.64 ± 0.08) が+/+型 (3.40 ± 0.05) より有意に高い値を示し, 肉の締まりも+/-型 (3.36 ± 0.09) が+/+型 (3.09 ± 0.06) より優れていた. この-アリルは熊本系褐毛和種の毛色の淡色化を引き起こす不良対立遺伝子だが, 経済形質においては正の効果を持つことが示唆された.