[P1-56] イルカ用代用乳の創製を目途とした予備的検討 〜ハンドウイルカ乳の泌乳期による成分変動〜
【目的】2015年に、JAZA加盟水族館においてイルカの追い込み漁による捕獲が禁止され、現在水族館ではイルカの繁殖率向上が課題となっている。新生児の人工哺育を試みているが死亡例が多く、イルカ用代用乳創製が求められている。創製に向けてイルカ乳成分を明らかにする必要があるが、泌乳期による成分変動については分析例が少なく、明確な初乳期間が明らかにされていない。今回は分娩直後から末期にかけての乳を分析し、泌乳期による成分変動について明確にすることを目的とした。
【方法】新江ノ島水族館のハンドウイルカから、分娩後2〜629日目に乳を採取し、全固形分、タンパク質、脂肪、乳糖の含量および脂肪酸組成について、定法に基づき分析した。
【結果】イルカ乳は牛乳に比べ脂肪とタンパク質が多く、乳糖が少なかった。これは海生哺乳類の乳の特徴であり、餌が魚介類であることや、水の熱伝導率は空気の20倍近くあるため、新生児に断熱材として脂肪を蓄積させる必要があることなどが理由と考えられた。有意ではないが全固形分、脂肪、タンパク質は末期乳になるにつれ増加傾向にあり、乳糖は減少傾向にあった。また、牛乳に存在しないC20以上の高級脂肪酸が含まれていた。摂食した魚の脂肪酸がそのまま乳に移行していると推察され、泌乳期による変動はほとんどなかった。以上より、ウシで確認されるようなはっきりとした初乳は存在しないと示唆された。
【方法】新江ノ島水族館のハンドウイルカから、分娩後2〜629日目に乳を採取し、全固形分、タンパク質、脂肪、乳糖の含量および脂肪酸組成について、定法に基づき分析した。
【結果】イルカ乳は牛乳に比べ脂肪とタンパク質が多く、乳糖が少なかった。これは海生哺乳類の乳の特徴であり、餌が魚介類であることや、水の熱伝導率は空気の20倍近くあるため、新生児に断熱材として脂肪を蓄積させる必要があることなどが理由と考えられた。有意ではないが全固形分、脂肪、タンパク質は末期乳になるにつれ増加傾向にあり、乳糖は減少傾向にあった。また、牛乳に存在しないC20以上の高級脂肪酸が含まれていた。摂食した魚の脂肪酸がそのまま乳に移行していると推察され、泌乳期による変動はほとんどなかった。以上より、ウシで確認されるようなはっきりとした初乳は存在しないと示唆された。