日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-13] ホルスタインの種雄牛評価形質と娘牛数から推測される供用種雄牛の選抜傾向の年次変化

〇河原 孝吉1、後藤 裕作1、川上 純平1、馬場 俊見1、岡 太郎2、中堀 祐香3、阿部 隼人3、山口 諭3 (1.一般社団法人日本ホルスタイン登録協会北海道支局、2.一般社団法人日本ホルスタイン登録協会、3.公益社団法人北海道酪農検定検査協会)

【目的】本分析では種雄牛評価形質と娘牛数の関係から酪農家や人工授精師などが供用種雄牛を選抜する傾向について調査した。【方法】分析対象は国内外で後代検定済となったホルスタインの供用種雄牛であり毎年父牛として709頭から801頭の範囲で抽出され、それらの娘牛数は全登録頭数の87%を占めた。各種雄牛には毎年8月に公表された評価値と各々公表年の次年に生まれた娘牛数を結合した。分析において評価値の信頼度は考慮していない。分析では評価値と娘牛数との相関およびステップワイズ(SW)回帰分析を使用し娘牛数を説明できる評価形質を調査した。【結果】国内種雄牛を父とする娘牛割合は2007年から2020年で58%から43%に低下した。NTP(総合指数:Nippon Total Profit)と娘牛数の相関は国内種雄牛で0.28から0.42、海外種雄牛で0.18から0.36の範囲にあり、種雄牛の選抜基準の一つとしてNTPの利用が示唆された。泌乳能力の評価値と娘牛数の相関は娘牛の生年に対して有意な上昇が認められたが、体型における相関は有意に低下した。娘牛数に対し産乳成分、耐久性(体型)成分および疾病繁殖成分の説明度合をSW回帰で調査したところ、産乳成分の回帰係数の上昇と耐久性成分の低下が明確になり、近年のわが国の供用種雄牛が泌乳能力と体型のバランスの取れた選抜から泌乳能力重視の選抜に変化していると推測された。