日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-22] ブタの系統維持における近交抑制のための凍結精液の利用

〇原 ひと美1、上本 吉伸1、小川 伸一郎1、佐藤 正寛1 (1.東北大院農)

【目的】ブタ系統完成時の精液保存がその後の閉鎖維持集団に与える近交度上昇の抑制効果をモンテ・カルロ法コンピューターシミュレーションにより検討した。
【方法】雄10頭、雌50頭を基礎集団とし、遺伝率(h2)が0.2および0.5の表現型値に基づく選抜を10世代行った。最終世代の精液を凍結保存した後20年間系統を維持した。種豚の更新は半年ごととし、導入個体は雌雄ともに、1歳齢個体のうち①無作為、②2~6産から無作為、③産次数の多いほうから選抜した。雄は1~3歳までの最大6回、雌はすべて3産した後4~6産次は前産次の半数を交配に供した。凍結精液は維持開始後10年目に導入した。以上の条件下で血統情報を1000反復発生させ、各世代の平均近交係数(F)を算出した。
【結果】10世代目のFは、h2が0.2および0.5のとき0.14、0.17であった。維持開始から20年後、精液導入を行わないときのFはh2が0.2のとき①0.24、②0.22、③0.23、h2が0.5のとき①0.26、②0.25、③0.26であった。一方、精液導入を行ったときのFはh2が0.2のとき①0.22、②0.20、③0.20、h2が0.5のとき①0.25、②0.23、③0.23であった。したがって、精液導入による系統維持集団の近交度上昇の抑制効果は①2.5、②5.0~5.5、③5.5~6.0年間相当であることが示された。