The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

Presentation information

ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. Genetics/Breeding

[P2-26] シバイヌの参照ゲノム配列CanFam_JSB1.0の構築

〇Yuki Matsumoto1, Genki Ishihara1 (1.Anicom Specialty Medical Institute Inc.)

国際基準ゲノム配列(参照配列)は現代のゲノム解析では必須の情報である。現行のイヌの代表的な参照配列であるCanFam3.1はボクサーに由来する配列であるが、未知の配列が多い。また、この配列だけでは現在確認されている300以上の多様な犬種をカバーできないことから、品種の成り立ちや疾患に関する研究の進展を妨げている。本研究では、日本原産の人気犬種の一つであるシバイヌの高精度な参照配列の構築を目的とした。予備解析で国内のシバイヌの代表的な遺伝的背景をもつ1個体を選抜し、この個体のDNAからPacBio Sequel II でCCS(circular consensus sequencing)モードにより、高精度かつ長い配列長のHiFiリードを取得した。解析プログラムのFlyeおよびRaGOOによりアセンブリを行った後、ゲノム配列の品質を示す統計値を、既存のイヌの参照配列と比較した。構築したCanFam_JSB1.0は全長2,452,236,119bp、スキャッフォールドの長さの中央値であるN50は62,171,032bp、スキャッフォールド数は554であり、すでに報告されている参照配列とほぼ同等かそれ以上の精度であった。今後、トランスクリプトームデータやin silico解析を用いた遺伝子のアノテーションを行い、分子系統解析や遺伝子の機能解析に必須の情報基盤を整備していく必要がある。