日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-33] 乳用雌牛における分娩後初回授精時期の違いが生涯生産性に及ぼす影響のシミュレーション

〇山崎 武志1、武田 尚人2、佐々木 修2 (1.農研機構北農研、2.農研機構畜産部門)

【目的】搾乳牛における分娩後早期の授精開始は、分娩間隔の延長を避けられる一方で、受胎率が低いことや、早期の受胎により分娩間隔が短くなりすぎること等が懸念される。乳用雌牛における生涯の生産効率にとって最適な授精開始時期を検討するため、授精開始時期が異なる場合の受胎率および生涯生産性をシミュレーションした。【材料・方法】乳用雌牛について各産次4回または5回授精し、不受胎ならば搾乳終了後淘汰とした。初回授精時の分娩後日数(DIM)は、25日から245日まで20日ごとに設定し、各DIMにおける累積受胎率を比較した。受胎率の算出には、分娩後日数および授精回数にともなう受胎率の変化を考慮した。生涯生産性の指標として、初回授精時DIMごとに生涯平均日乳量(淘汰時の累積乳量/日齢)の平均値を算出した。子牛生産を考慮するため、子牛販売価格の乳量換算値を累積乳量に加算した。初回授精時DIMに伴う生涯平均日乳量の変化を3種の子牛販売価格間で比較した。【結果】初回授精時DIMが25日および145日の累積受胎率は、4回不受胎淘汰で85%および91%、5回不受胎淘汰で91%および95%だった。子牛販売価格を考慮した生涯平均日乳量は、初回授精時DIMが45日以下のとき相対的に低かった。子牛販売価格の上昇に伴い、生涯平均日乳量を最大にする初回授精時DIMは短くなった。