日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. 繁殖・生殖工学

[P3-04] 乾乳牛へのルーメン保護リジン給与が分娩後の繁殖機能回復に及ぼす影響

〇川島 千帆1、早川 陽奈1、谷口 安希1、後藤 聡1、草場 信之1、山岸 則夫2、杉本 裕介3 (1.帯畜大畜産、2.大阪府大獣医、3.味の素(株))

【目的】乳牛における制限アミノ酸の一つであるリジンの分娩前3週間の給与が分娩後の初回排卵時期と子宮修復に及ぼす影響を調査した。【方法】分娩予定3週前のホルスタイン種経産牛にルーメン保護リジン製剤80g(有効リジン量20g)と米ぬか30gの混合物(給与群、27頭)もしくは米ぬか30gのみ(対照群、25頭)を分娩まで毎日給与した。分娩予定3週前から分娩後6週目まで週2回採血し、代謝物およびアミノ酸濃度を測定した。分娩2〜6週目に週2回超音波画像による卵巣観察を行い、排卵の有無を確認した。子宮修復は分娩後3および5週目の腟内貯留粘液採取によるメトリチェックスコア、細胞診による好中球の割合、超音波画像による妊娠角直径および子宮内貯留物の有無により判断した。また、分娩状況や日乳量を記録した【結果】給与前の母牛の血中代謝物およびアミノ酸濃度と分娩難易度ならびに出生した子牛の出生時体重には群間差はなかった。分娩後1~3週目の総乳量は給与群が対照群より多い傾向がみられた。分娩後の初回排卵日と分娩後3および5週目における各子宮修復指標には群間差はなかったが、メトリチェックスコアにおいて給与群でのみ5週目に低下した(P<0.05)。以上より、乾乳牛への分娩前3週間のルーメン保護リジン給与は、分娩後の初回排卵時期に影響を与えないが、腟内貯留粘液の清浄化を早めることが示唆された。