日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. 繁殖・生殖工学

[P3-07] 正常産と難産の黒毛和種牛における母牛骨盤と産子サイズ比-難産予測方法確立のために

〇前田 崇史1,2、大澤 健司1,3、北原 豪1,3 (1.宮崎大院医獣医、2.宮崎県農業共済組合、3.宮崎大農)

【目的】牛の難産は母子の生死に関わり、生存産子で生産が成り立つ肉用牛では経済損失が大きい。難産を予測できれば死亡や分娩に関わる障害を軽減することができる。難産の主要因の一つに胎子と骨盤の物理的な不均衡がある。これまでに、母牛の骨盤面積測定や胎子の中手骨幅による出生時体重推定などが報告されているものの、胎子と骨盤の物理的な不均衡を数値化して予測に応用した報告はない。そこで本研究では、正常産と難産における母牛の骨盤および産子サイズとの関係を比較し、新たな難産予測方法の確立を目的として試験を実施した。【方法】黒毛和種牛の一繁殖農場にて正常分娩した6頭(正常群;4.8 ± 1.6産)および死産または帝王切開を受けた6頭(難産群;1.5 ± 0.8産)の計12頭について、胎子娩出直後に母牛の体重と骨盤の縦径と横径、産子の体重と頭部幅、胸腹囲および蹄冠幅を測定した。【結果】難産群は正常群に比べ骨盤の縦径が短く(13.6および15.5 cm、P < 0.05)、骨盤の縦径に対する産子の蹄冠幅(4.43および3.76、P < 0.05)および出生時体重(2.84および2.29、P < 0.01)の比が高かった。また、産子の蹄冠幅と体重の間に正の相関があった(r = 0.787、P < 0.05)。【結論】母牛骨盤腔の縦径と産子蹄冠幅の比で難産と帝王切開適応症を予測できることが示唆された。