日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. 繁殖・生殖工学

[P3-08] ウシ卵巣の穿刺刺激による胞状卵胞数の経時的変化

〇小林 仁1、難波 ひな子1、横尾 正樹2、鹿野 亜海2、森本 素子1、長谷川 昇司3、渥美 孝雄3、池内 真志4、河村 和弘5 (1.宮城大学食産、2.秋田県大生物資源、3.渥美牛群サービス、4.東大院情理、5.国際医療大医)

【目的】Hippoシグナルは、器官のサイズを調節する経路である。この経路の抑制は、細胞増殖を亢進し、卵巣では卵胞発育を促すことが報告されている。本研究では、ウシ卵巣への穿刺刺激が卵巣のHippoシグナルを抑制し卵胞発育を促進するかどうかを、生体を用いて検証した。【方法】試験Ⅰ:経産牛3頭を用い、片側卵巣に採卵針(17G×5000 mm)を用いて50回穿刺処理を片側卵巣に行った。吸引針の先端にはレーザー(7.0W×0.2秒)を取り付け、穿刺ごとに焼灼止血を行った。観察は1クール6ヵ月とし、穿刺する卵巣の左右を交換して2クール行った。卵巣の観察は、1回/週、超音波診断装置を用いて行った。試験Ⅱ:試験Ⅰと同様に穿刺処理と卵胞観察を行ったが、卵胞発育途中での退行を抑えるため20AU FSH(アントリンR10Al)を隔日投与した。【結果】試験Ⅰ:穿刺刺激後1~2ヶ月で小卵胞の増加が観察された。卵胞数の増加は、穿刺卵巣だけでなく非穿刺卵巣でも観察された。全卵胞数は、両クールとも2ヶ月後に最大を示し、平均で穿刺前15.9 個(相対比1.0)に比べ、第1クールでは23.7個(同1.5)、第2クールでは22.5個(同1.4)を示した。試験Ⅱ:穿刺激後1~2ヶ月で中、大卵胞数が増加した。しかし、穿刺後2ヶ月頃から黄体が増加し卵胞が減少する個体もあり、個体差がみられた。試験Ⅱは、現在も観察を継続中である。