日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. 繁殖・生殖工学

[P3-16] ヒツジ栄養膜細胞が着床期特異的に高発現する新規分泌型タンパク質の探索

〇松野 雄太1、今川 和彦1 (1.東海大総農研)

【目的】近年,反芻動物の胚や栄養膜細胞が分泌し,着床を誘導する未知の因子の存在が示唆されているが,実態は不明である.本研究では,ヒツジ栄養膜細胞のRNA-seqデータを用いて着床期特異的に高発現する機能未同定の分泌型タンパク質の探索を試みた.【方法】妊娠12(胚–子宮内膜の接着前),14(接着直前), 16(接着中),及び20日目(接着直後)のヒツジ栄養膜細胞のRNA-seqデータ(Accession: GSE87017)を解析し,発現量の上位100の遺伝子の中で機能未同定遺伝子(発現配列タグ; EST)を抽出した.各々のESTについて,翻訳産物のアミノ酸配列を解析し,タンパク質機能を推測した.さらに分泌型タンパク質と推測された遺伝子について類似配列遺伝子を探索した.【結果】各妊娠日の発現量上位100遺伝子のうち.51, 46, 48, 及び44個(合計91種類)がESTに該当した.これら91種類のESTの翻訳産物のうち,少なくとも4種類が分泌型タンパク質と推測された.これら4種類のESTの類似配列遺伝子としてインターフェロンガンマ遺伝子やホスホリパーゼA2阻害Ly6/PLAURドメイン遺伝子が検出された.以上の結果より,機能未同定遺伝子に着目することで,着床制御に関与する新規タンパク質の同定や発見に繋がることが期待できる.本研究は「理科研研究助成」及び「旗影会研究助成」の支援を受けた.