The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

3. 繁殖・生殖工学

3. Reproduction/Reproductive technology

[P3-26] ウシ卵胞液中に存在する細菌毒素と肝機能障害関連物質が卵母細胞の胚発生能におよぼす影響

〇Fumie Magata1, Fuko Matsuda1, Shingo Haneda2 (1.Univ. Tokyo, 2.Obihiro Univ.)

【目的】乳牛の炎症性子宮疾患においては、主要な起因菌であるグラム陰性細菌の毒素であるリポポリサッカライド (LPS) が卵胞液中に存在し、卵胞の機能を低下させる。本研究では、炎症性子宮疾患の影響を受けながら発育した卵母細胞の胚発生能を検証した。【方法】食肉処理場で乳牛の卵巣を採取し、LPSおよび肝機能障害に関連して産生される遊離脂肪酸 (NEFA) とβ-ヒドロキシ酪酸 (BHBA) の卵胞液中濃度を測定した。さらに卵巣内に共存する小卵胞より卵丘細胞-卵母細胞複合体を吸引採取して体外成熟と体外受精に供し、卵割率および胚盤胞期胚への発生率を検証した。LPS、NEFA、BHBA濃度のそれぞれについて中央値以下であった卵胞および中央値より高かった卵胞から採取した卵母細胞をlow群由来卵母細胞およびhigh群由来卵母細胞とした。【結果】炎症性子宮疾患に罹患した牛では、 NEFAおよびBHBAの卵胞液中濃度が増加していた。LPSおよびNEFAについて、high群由来卵母細胞ではlow群由来卵母細胞と比較して卵割率に違いは認められなかったが、胚盤胞期胚への発生率が有意に低かった。卵胞液中のBHBA濃度と卵割率および胚盤胞率との関連性は認められなかった。以上より、卵胞液中に存在するLPSおよびNEFAは卵母細胞の胚発生能低下に関与し、乳牛の受胎性に影響をおよぼす可能性が示唆された。