日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. 畜産物利用

[P5-24] 異なる産地で捕獲されたシカ肉の栄養・機能成分の比較

〇宮田 紫帆1、西村 敏英1 (1.女子栄養大院栄養学)

[目的]近年、農作物被害等で捕獲されたシカやイノシシなどのジビエ肉の食用化が推進されている。本研究では、ジビエ肉の食資源としての価値向上へ貢献するため、異なる産地で捕獲されたシカ肉に含まれるイミダゾールジペプチド、遊離アミノ酸、鉄を分析し、比較・検討した。 [方法]北海道、和歌山、徳島、宮崎の異なる4つの産地において捕獲されたシカ肉のモモ、ヒレ、ロース、バラの4部位を試料とした。各肉をミリQ水でホモジナイズ後、終濃度5%のTCAで除タンパク処理したものを各成分の分析試料とし、HPLC、全自動アミノ酸分析計、ICP発光分析法で分析した。 [結果・考察]イミダゾールジペプチドは、北海道、和歌山、徳島、宮崎の異なる産地のシカ肉に共通する特徴として、アンセリン、カルノシン、バレニンの3つの成分すべてロースの部位で最も多く含まれていた。これは、肉の部位による筋線維タイプの違いが寄与していると推察された。遊離アミノ酸組成は、異なる4つの産地のシカ肉に共通して、タウリン、アラニン、グルタミン、グリシンの含有量が多かった。さらに、グルタミンは和歌山のシカ肉に多く含まれ、他の3つの産地と有意な差が認められた。鉄の含有量は、4つのすべての部位において、徳島のシカ肉に最も多く含まれていた。これらの成分の含有量が、産地や部位によって差が生じる要因については検討中である。