10:00 〜 10:15
[VYS-05] アマミノクロウサギの侵入防止に向けたタンカン園における電気柵設置の有用性
【目的】アマミノクロウサギ(以下,ウサギ)による農作物被害が深刻化しており,特にタンカン園での被害防止技術の開発が急務となっている.一方,ウサギは特別天然記念物であり,現地では“保護と被害対策”の両立が求められている.本研究では,ウサギの侵入防止に向けた電気柵設置の有用性を検討した.【方法】徳之島のタンカン園(周囲100 m,2 a)に架線高10~30 ㎝の電気柵を設置し,設置前23日間を対照区,設置後406日間を試験区とした.カメラで侵入個体を撮影し,両区の撮影率を比較した.試験区では,柵に対するウサギの行動反応をカメラで撮影し,タンカン樹の食害の有無を調査した.柵の資材費,設置と管理に要した時間についても調査した.【結果】対照区の撮影率69.6%に対し,試験区では0.5%と極めて低かった(P<0.01).延べ1,189頭分の動画から,柵設置直後に通り抜けによる侵入(1頭)または柵に接触して感電(5頭)するウサギが観察されたものの,それ以外は柵を忌避する状況が大半を占め,タンカン樹への食害も皆無であった.資材費は78,000円と金網柵に比べて約40%安価であった.設置は2名で約1時間,生産農家は計9回の草刈りを行ったものの,管理面での負担は感じなかったと回答した.
以上より,電気柵によるウサギの侵入防止効果は顕著であり,ヒトとの棲み分けを図る上で有効な手段になる可能性が示された.
以上より,電気柵によるウサギの侵入防止効果は顕著であり,ヒトとの棲み分けを図る上で有効な手段になる可能性が示された.