湿式素材プロセッシング（Hydrometallurgy）

[PY1-48] 水溶液中での鉄錯体制御による金属鉄ナノ粒子合成法の開発

○牛田 勝也¹、横山 俊¹、高橋 英志¹、田路 和幸¹ (1. 東北大学)

キーワード：ナノ粒子、ゼロ価鉄、液相還元

構造材料として最も多く使用されている鉄鋼の接合には，融点程度までの加熱が必要である．一方で金属ナノ粒子は，高い表面活性を有することから比較的低温で表面が溶融し，結合後は活性が低下し低温では再溶解しないという特性を持つ．すなわち，鉄ナノ粒子を用いれば省エネルギーに鉄鋼材料を接合することが期待できる．鉄ナノ粒子は，気相合成法により合成することが十分可能であるものの，高温環境や大掛かりな装置，複雑なプロセスを必要とすることから，低コストかつ低環境負荷な合成方法とは言い難く，材料学的に応用することも困難である．そこで，鉄塩水溶液に還元剤を投入することで簡単かつ省エネルギーに合成する方法が検討されている．しかしながら，鉄塩水溶液は酸性領域以外において酸化鉄が生成し，還元剤として用いられる水素化ホウ素ナトリウムは酸性領域で非常に激しく水素を発生する．したがって，水溶液中で鉄ナノ粒子を大量合成することは達成されていない．そこで本研究では，水溶液中の錯形成反応を制御し，材料学的応用が可能な鉄ナノ粒子をアルカリ領域において省エネルギーかつ低コストに合成するための手法の開発を試みた．