湿式素材プロセッシング（Hydrometallurgy）

[PY1-56] スルファミン酸系電解液を用いた低品位銅の電解精製

○菅原 智裕¹、福 和寿¹、岩渕 仁那¹、関本 英弘¹ (1. 岩手大学)

キーワード：電解精製、スルファミン酸、リサイクル、不働態化、粗銅

低品位銅を電解精製する技術は、2次原料の処理量増大に必要とされ、様々な研究が行われている。現行の電解精製方法では、低品位銅は不働態化しやすく精製困難であり、純度99％以上の粗銅が必要とされる。不働態化の原因は、粗銅中のPbなどが難溶性化合物を形成し、アノード表面に固着することで、銅イオンの拡散が阻害され硫酸銅が析出するためとする説が有力である。そこで我々はPbなど固着性スライム形成元素に対して大きな溶解度を示す電解液を用いれば、低品位銅を電解精製できると考えた。本研究では、鉛電解に採用されているスルファミン酸に着目し、低品位銅の電解精製を行った。純銅またはAg,Au,As,Bi,Sb,Ni,Ni,Pb,Seを含む純度70－90mass%の低品位銅をアノード、SUS３０４をカソードとしてスルファミン酸―スルファミン酸銅溶液中で定電流電解を行った。電解後、カソードに電析した銅を剥がし取り、ICP法によって不純物濃度を測定した。結果の一例として80％程度の粗銅をアノードとしたとき、電解中、数分程度の分極が間欠的に見られたが、速やかに復極し、150時間程度不働態化せず電解が可能であった。