国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

水と衛生(日本語)

2023年11月11日(土) 09:30 〜 11:30 紀-108 (紀尾井坂ビル108)

座長:杉田 映理(大阪大学) コメンテーター:西野 桂子(関西学院大学)、緒方 隆二(国際協力機構)

10:30 〜 11:00

[1H03] ベトナム農村部における浄水需要:個別家庭型アプローチの有効性

*黒川 基裕1 (1. 高崎経済大学)

キーワード:インクルーシブビジネス、商品企画、ベトナム、ヒ素汚染

ベトナムのハノイ近郊では、地下水のヒ素汚染が深刻であり、井戸などを通じた水へのアクセスによる地域住民への健康被害が確認されている。そこで本研究では、ヒ素除去が可能となる小型浄水ボトルの商品企画・開発に取り組み、ハノイ近郊の農村部をフィールドとして課題解決の可能性があるか検証することを目的とした。
多くの先行研究では、村落レベルで中・大型の浄水設備を設置し、住民が設備を共同利用するという「村落レベル型アプローチ」を採用してきた。これは、ヒ素除去には比較的大きな設備と浄水時間を要することによるものであるが、設備のオーナシップが不明瞭になり平等な利用やメンテナンスの継続などの課題が発生することがあった。
本研究では、これまでの浄水ボトルではみられなかった高密度のフィルタを採用したモデルの商品企画・開発を推進し、現地におけるパフォーマンステストを実施することで、ヒ素除去を求める個人が各家庭でヒ素除去に対処できる「個別家庭型アプローチ」でもヒ素除去が可能となるか検証した。
また水の安全性への意識にばらつきがあり、浄水に対する需要に個人レベルでばらつきがある場合、その点でも個別家庭アプローチが有効であることを説明できるため、浄水に対する意識調査を実施した。併せて、調査票では小型浄水ボトルをサブスクリプションサービスで提供した場合のWTPも分析し、潜在需要を確認した。
結果として、小型浄水ボトルによるヒ素除去は技術的に可能な範囲にあり、同サービスに対する潜在需要も確認された。

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