国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

環境、サスティナビリティ(日本語)

2023年11月12日(日) 12:45 〜 14:15 紀-409 (紀尾井坂ビル409)

座長:松岡 俊二(早稲田大学) コメンテーター:佐々木 大輔(東北大学)、古沢 広祐(國學院大学)

13:15 〜 13:45

[2N04] 環境知識の移転をめぐる地政学的ダイナミクス:中国の環境協力機関の比較分析

*WU Jingyuan1 (1. 東京大学大学院)

キーワード:環境協力、知識移転、持続可能な開発

中国のグローバルな環境ガバナンスにおける存在感が増大するにつれ、一部の研究者は中国政府が地政学的な目的や経済的な利益を追求し、途上国におけるソフトパワーを強化しようと環境協力を展開していると批判する。このような批判や懸念の妥当性を評価するために、国際環境条約の交渉や環境協力プロジェクトの管理を担当する機関を考察することが一つのアプローチである。環境協力機関は、地政学的な動機から続々と設立されたのであろうか。もしそうでなければ、これらの機関の組織構造と活動内容に変化があったのか。
この問題意識に基づいて、本研究は1990年代から現在に至るまでに中国政府が設立した7つの環境協力センターと1つの国際連盟を取り上げ、比較分析を行う。社会、政治、自然環境の状況が数十年間で変化しても、環境協力機関が繰り返し設立される理由を「過程構築」と比較をによって考察する。また、各環境協力機関の資料を基に、それぞれの機関の取り組みを比較し、環境知識の移転をめぐる変化を描き出す。
比較分析の結果から、現代の環境知識の生産と移転は単純に地政学的な競争だけで説明できないことが明らかになった。中国は1990年代から、国際社会の環境知識、規範、および資金を受け入れる窓口として環境協力センターを設立した。国内の環境政策の整備と国際開発への注力に伴い、環境協力センターの役割も変化した。中国は環境協力機関を介して、環境知識をASEANやアフリカに一方的に移転するのでなく、多国政府、国際機関、NGOと対話し、ともに「グリーンな一帯一路」を推し進めるのにあたって必要な実態調査やガイドライン作りをし、知識を共創している。そこに地政学的な対立があるとしても、環境知識の生産者と受容者という二者間対立の構図ではなく、知識生産と運用の多元性がもたらすものに焦点を当てるべきであろう。

パスワード認証
報告論文や要旨の閲覧にはパスワードが必要です。パスワードを入力して認証してください。

パスワード