[2Np] 衛生、殺菌、抗菌

[2Np-06] ダイコンおろし中の食品汚染酵母生育抑制物質に関する研究

*水沼 忍^1,4、中山 素一³、益田 時光²、本城 賢一²、宮本 敬久² (1. 九大院・生資環、2. 九大院・農、3. 九産大・生命科学、4. （株）アキモ)

キーワード：ダイコン、ダイコンおろし、抗真菌性、浅漬

【目的】ダイコンは浅漬の主要原料の一つで，複数の抗菌物質を含むことが報告されているが，ダイコンおろしによる食品汚染酵母，特に浅漬の品質劣化原因となる酵母に対する抗菌効果の詳細な研究報告はない．本研究では，ダイコンおろしについて，浅漬調味液中で低温保存中の浅漬汚染酵母の生育に対する影響を調べ，種々の食品汚染酵母に対する抗菌性の評価を行った．
【方法】浅漬キュウリ調味液182gにダイコンおろし18gを添加して浅漬から分離した酵母Debaryomyces hansenii，Kazachstania servazziiを1CFU/100g，または1CFU/g接種して10℃で保存した．食品汚染酵母16種に対する抗菌性試験では，ダイコンおろしを50%(W/V)添加したYPD培地に酵母を10⁴CFU/g接種して25℃で3日間保存した．さらに抗菌成分の粗分画のため，ダイコンおろしブレンダー処理試料，ダイコンおろし搾汁液，搾汁残渣滅菌水懸濁液をそれぞれ50%(W/V)添加した25%YPD培地にWickerhamiella versatilisを10³CFU/g接種し25℃で3日間保存した．生菌数の測定はPDA培地塗抹法で行い，25℃で培養後のコロニー数から生菌数を求めた．
【結果】ダイコンおろし添加キュウリ浅漬調味液中で，未添加に比べD. hanseniiは増殖が抑制されたが，K. servazziiは逆に増殖が促進された．食品汚染酵母は菌種ごとにダイコンおろしに対する感受性が異なった．ダイコンおろしブレンダー処理試料はW. versatilisの増殖を抑制したが，搾汁液および残渣懸濁液は抑制効果が低かった．
以上より，ダイコンおろしは食品汚染酵母に対して抗菌作用を示したが酵母菌種によって抗菌効果は異なった．浅漬中でより高い抗菌効果を得るためにはダイコン品種，栽培時期，産地影響についての検討が必要である．