国際開発学会第34回全国大会

講演情報

一般口頭発表

オンライン(日本語)

2023年11月11日(土) 09:30 〜 12:00 紀-409 (紀尾井坂ビル409)

座長:高柳 彰夫(フェリス女学院大学) コメンテーター:戸田 隆夫(明治大学)、高橋 基樹(京都大学)

10:00 〜 10:30

[1N02] ASEAN諸国におけるデジタル経済促進分析:課題と戦略

*原 正敏1、*橋 徹2 (1. ビジネス・ブレークスルー大学大学院、2. 早稲田大学)

キーワード:ASEAN、デジタル化、経済開発、ICT投資課題、戦略枠組み

ASEAN諸国ではデジタル経済化が急速に進展している。例えば、タクシー配車サービスや電子商取引などのサービスが急速に拡大する一方で、生産や物流においては、ICTを用いた最適制御が実現し、製造業とサービス業との連携も効率的に行われている。また、生活面では、ICTによって遠隔医療やオンライン教育などが普及し、医療や教育へのアクセス性の地域間格差の解消にも貢献している。さらに、フィンテックの導入によりキャッシュレス決済が広まり、金融サービスへのアクセスの地域間格差も是正されつつある。統計的にも、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシアの6ヵ国におけるインターネット経済(GMV)成長率は、2015年から2019年までの間に推計で33.0%の成長を果たしていることが見て取れる(経済産業省、2020年)。この大きな成長の背景には、若年層におけるインターネット利用頻度の急増やパンデミックによるリモートワーク、オンラインビジネスの拡大などがあげられる。 以上のような状況から、ICTの進展は製造業の高度化やサービス業の発展を促進する要因であると考えられる。したがって、ASEANの各国政府は、ICTを成長促進要因として活用するための戦略的な取り組みを進める必要があり、実際に各国では、Industry4.0の実現を目標としたビジョンや戦略が構築されている。一方、ASEANにはさまざまな発展段階の国が存在し、ICTの進展は経済発展段階別に異なる状況であると考えられる。各国におけるICTを活用した発展戦略は、こうした発展段階別の差異を踏まえたより実践的なものでなければならない。本研究ではこうした視点に立ち、ICTの進展が製造業やサービス業の発展に与える影響は発展段階別に異なることを実証し、発展段階別のICT活用戦略のあり方を考察したものである。

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