日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

4. 形態・生理

4. 形態・生理

[P4-13] 筋幹細胞が合成するnetrin-4の筋線維型制御への関与

〇前野 岳大1、有松 里央1、久枝 皓雅1、山谷 有希1、小林 謙2、中村 真子3、西邑 隆徳2、辰巳 隆一3、鈴木 貴弘3 (1.北大院農、2.北大院農研、3.九大院農)

【目的】骨格筋の筋線維型(遅筋、速筋)に関する制御機構は、不明な点が多い。我々は、筋幹細胞(衛星細胞)が分化、融合して新生筋線維(筋管)を形成する過程で、多機能性の細胞制御因子semaphorinやnetrinを合成し、自律的に筋線維型を制御する機構に着目している。本研究では、衛星細胞が合成するnetrin-4が筋線維型の制御に関与するかを検証した。

【方法】C57BL/6成熟雄マウスの遅筋(ヒラメ筋)および速筋(長趾伸筋)から単離した衛星細胞の初代培養系を用いて、分化誘導後のnetrin-4の発現パターンを調べた。続いて、全身骨格筋由来衛星細胞の分化誘導時にnetrin-4特異的siRNAを用いた発現抑制条件下における筋線維型マーカー(ミオシン重鎖アイソフォーム)の発現変化や各マーカー陽性筋管の融合率を調べた。

【結果】ヒラメ筋および長趾伸筋それぞれを由来とする衛星細胞において、netrin-4の発現量は分化誘導と共に増加した。なお、ヒラメ筋由来の細胞に比べ、長趾伸筋ではnetrin-4の発現量が高かった。netrin-4の発現抑制をしたところ、遅筋型ミオシン重鎖の発現量は増加し、速筋型の発現量は減少した。さらに、速筋型ミオシン重鎖に陽性な筋管の融合率も減少した。よって、衛星細胞が合成するnetrin-4は、遅筋型筋管形成の抑制かつ速筋型筋管形成の誘導をする役割を持つと考えられた。