[P5-20] 牛肉由来の水溶性低分子物質分画を用いたメイラード反応の添加試験
[序論]牛肉の甘く香ばしい焙焼香気は、メイラード反応で発生するが、肉中での反応物の相互作用は明らかではない。そこで、牛肉由来の加熱香気発生モデルを構築し、添加試験により反応産物を検討した。[材料と方法]牛肉エキスを除蛋白、脱脂したのち80%エタノール可溶性分画を調製し、この分画に糖、アミノ酸、長鎖脂肪酸、及び主要な筋漿成分(ペプチドは除く)を5μmol添加して175℃で1分間加熱し、ピラジン類、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン(DMHF)、マルトール、2-アセチルピロール(2-AP)、シクロテン、5-メチル-2-ピラジンメタノール(MPM)の生成を検討した。[結果と考察]DMHFは糖、トレオニン、乳酸、ペプチド等で増加し、カルノシン等のアミノ酸及びステアリン酸で低下した。マルトールは糖、グルタミン酸等のアミノ酸、乳酸、及びペプチド等で増加し、2-APは糖、グルタミン酸、乳酸で増加した。MPMは糖、トレオニン等のアミノ酸、ペプチド等で増加し、シクロテンはカルノシン以外で増加し、ピラジンはグルコース、ステアリン酸以外で増加した。以上の結果から、糖、乳酸、トレオニン、グルタミン酸は甘く香ばしい匂いに寄与し、ジペプチド、グルタミン、ステアリン酸等は甘く香ばしい匂いを低下させ、アミノ酸及びペプチドは香ばしい匂い、焦げ臭及び醤油様の匂いへ寄与することが示唆された。