日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

5. 畜産物利用

5. 畜産物利用

[P5-22] 加熱食肉製品における卵殻膜酵素分解物の発色促進作用機序の検討

〇神田 哲平1、湯川 寛子2、木原 明彦2、水野谷 航1、竹田 志郎1、笹原 亮2、坂田 亮一1 (1.麻布大獣、2.キユーピー)

【目的】第124回大会において、我々は加熱食肉製品における鶏卵由来酵素分解物の発色促進作用について報告した。本研究では、高い発色促進作用を示した卵殻膜酵素分解物に着目し、その発色促進作用機序を明らかにする目的で検討を行った。【方法】卵殻膜酵素分解物を70%エタノールで抽出処理し、エバポレーターおよび凍結乾燥機を用いて卵殻膜ペプチド(ESMP)を調製した。亜硝酸Na、ミオグロビンおよび各々の濃度に調整したESMPを酢酸緩衝液に加え試料とし、一定時間加熱後、アセトン抽出法により発色率を測定した。ESMPの還元能は、鉄イオン還元能とORP酸化還元電位で評価した。Ellman’s試薬を用いてESMPのチオール基濃度を測定した。また、マレイミド処理によりチオール基を阻害したマレイミド修飾ESMPを調製し、各実験に用いた。【結果と考察】ESMPを加えることで試料溶液の発色率は短時間の加熱で著しく上昇した。ESMPの還元能は、鉄イオン(Fe3+)の還元作用が高く、ORP値の著しい減少も認められた。マレイミド修飾ESMPの加熱時間20分までの発色率は、ESMPの発色率に比べて有意に低かった(P<0.05)。以上より、卵殻膜酵素分解物の発色促進作用はESMPの高い還元能によるものであり、またその発色促進作用にはESMPのチオール基が関与していることが示唆された。