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[2Lp-05] ゼラチン水溶液のゲル化過程におけるレオ・インピーダンス挙動 -冷却速度の影響-
キーワード:ゼラチン、レオ・インピーダンス、ゲル化、冷却速度
【目的】我々は前報でゼラチン水溶液のゲル化過程におけるレオ・インピーダンス挙動を評価した.ゼラチン水溶液がゾルからゾル・ゲル転移付近までの粘弾性挙動には明確な変化は観察されなかったが(貯蔵弾性率G’はゼロ,損失弾性率は一定値),インピーダンス測定から算出した系の内部抵抗は指数関数的に増加した.すなわち,系の内部抵抗の増加は,コラーゲン分子の架橋進行に伴う分子量の増加に対応していると推察した.今回はゼラチンのレオ・インピーダンス挙動に対する冷却速度の影響を調べたので報告する.【方法】試料としてゼラチンB(アルカリ処理,新田ゼラチン)を用い,2.5wt%水溶液を65℃に加温・攪拌して透明水溶液を調製した。水溶液を65℃から5℃まで1℃~4℃/minの速度で冷却し,その後5℃に保持した。レオ・インピーダンス測定は,レオメータ(MCR302e,アントンパール)にインピーダンス測定治具を取り付け,インピーダンス・アナライザ(IM-3536,日置電機)と接続してインピーダンス|Z|を測定した(印加電圧100mV、交流周波数4Hz~8MHz).【結果】2.5wt%ゼラチン水溶液を冷却していくと,弾性率(G’,G”)が急激に増加して一定値に達する.弾性率が急激に増加する見かけのゾル・ゲル転移点は,冷却速度が速いほどより短時間側に移行した.また一定値に達した弾性率は冷却速度が遅いほど高い値を示した.同時に測定したインピーダンス値から算出した系の内部抵抗は,いずれの冷却速度においてもゾルからゾル・ゲル転移付近まで指数関数的に増加した.また,弾性率が一定値に達したときの内部抵抗は,冷却速度が遅いほど高い値を示し,弾性率の挙動と一致した.以上の結果から,冷却速度が速くなると,コラーゲン分子の架橋進行は速くなるが,ゲル化したときの架橋の程度(架橋密度)は相対的に低下する(粗になる)ことが示唆された.