日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Lp] 食品物性

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 L会場 (2F N205)

座長:松川 真吾(東京海洋大学)、太田 尚子(日本大学)、金田 勇(酪農学園大学)

17:00 〜 17:15

[2Lp-08] 3Dプリント食品のプリント可能食感を飛躍的に広範化するフードインク開発

*小田 陽矢1、武政 誠1 (1. 東京電機大学大学院)

キーワード:フード3Dプリンタ、フードインク、卵白、レオロジー、食感

[目的]
シリンジ式の食品用3Dプリンタに使用できるフードインクはペースト状に限定されており,プリントされる食品は柔らかい食感になる.本研究では,噛み応えのある食品を3Dプリントすることを目的とした.
[方法]
乾燥卵白とバニラビーンズパウダーから噛み応え食品造形用インクを作製し,ポテトフレークから従来インクを作製した.直方体(幅×高さ×奥行き=6.0×2.0×8.5 mm)をそれぞれ3Dプリントした.3Dプリント食品を加熱した後,テクスチャーアナライザを用いて,くさび型プランジャー(幅13mm, 先端30°,先端幅1mm)で圧縮し,食感分析を行った.バニリンの前駆体であるカフェイン酸を卵白インクに添加した.応力制御型レオメーターを用いて,卵白インク,卵白-カフェイン酸インク,卵白–バニラビーンズインクの,G'の温度依存性測定を行なった.
[結果]
卵白–バニラビーンズインクで造形した3Dプリント食品の最大圧縮加重は約160Nになった.従来フードインクとして用いていた,ポテトインクで3Dプリントした食品の最大圧縮荷重は約0.16Nであり,圧縮荷重は従来比約1000倍となった.本研究で開発したフードインクにより,我々が日常で口にする食品の「噛み応え」は全て、3Dプリント可能なったと考えられる.加熱により、カフェイン酸を添加していない卵白インクは60℃付近でG'が急激に増加し,卵白-カフェイン酸インクは25℃付近でG'が増加した.卵白単独でのゲル化温度よりも低温で、カフェイン酸が卵白分子間を架橋したと考えられる.加熱後の冷却により,卵白-カフェイン酸インクのG'はさらに増加し,107Paまで達した.加熱により,卵白–バニラビーンズインクは55℃でG'が増加した.バニラビーンズ添加により3Dプリント食品の圧縮荷重が増大した要因については当日議論する。