日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Aa] フレーバー物質,色素

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 A(S2)会場 (3F N321)

座長:平 修(福島大学)、寺田 祐子(静岡県立大学)、佐川 岳人(エスビー食品)

10:45 〜 11:00

[3Aa-07] スパイス香気成分添加によるだし汁の風味改善について

*笠原 帆乃佳1,2、中川 有理3、佐川 岳人3、荒木 萌4、佐藤 吉朗4 (1. 石川県立大・院、2. 北陸学院大、3. エスビー食品(株)、4. 東京家政大)

キーワード:スパイス、香気成分、風味、出汁

【目的】
 日本人の1日の食塩摂取量は厚生労働省の食事摂取基準において男性7.5g未満、女性6.5g未満と推奨されている。しかし、現状の摂取量は目標量を大きく超え、食塩の過剰摂取が高血圧症などの生活習慣病のリスク因子となることから、適切な塩分コントロールによる食塩摂取量の減少が求められる。
塩分量を下げた食事では薄味になる、味がぼやける等、おいしさや満足感が低下しやすい。一方で、おいしさを損なうことなく塩分量を減らす工夫としてスパイスやハーブの活用が着目される。そこで、いくつかのスパイスの香気成分抽出液をだし汁に添加して、官能評価によって各種スパイス香気が及ぼす呈味への影響を検討した。
【方法】
 試料はオールスパイスパウダー、ローレルパウダー、クローブパウダー、ブラックペッパーパウダー、コリアンダーシードパウダー(エスビー食品)を用いた。各試料粉末を熱水で蒸留し、得られた蒸留物を香りがしなくなるまで希釈したものを試料液とし、水およびかつおだし(市販品:無塩)に添加した。官能評価は東京家政大学の学生および教員10名を被験者とし、呈味や香りの強度の評価および自由記述式での回答を得た。
【結果】
 水およびかつおだしを対照として、スパイス蒸留物を添加した際の呈味評価を行った。官能評価の結果、オールスパイス、ローレル、クローブ、ブラックペッパーの蒸留物に有意な塩味増強効果が確認された。また、すべての蒸留物に旨味増強効果が確認された。さらに、自由記述からローレル、クローブの蒸留物にかつおだしの磯臭さのマスキング効果が示唆された。