日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Bp] その他の成分、感性評価、官能評価

2024年8月31日(土) 14:15 〜 16:45 B(S3)会場 (3F N322)

座長:清水 宗茂(東海大学)、豊泉 友康(静岡県農林技術研究所)、斉藤 史恵(山梨大学)

15:00 〜 15:15

[3Bp-04] QDA法による仕上げ茶の特徴評価

*金井 祐基1、湯浅 友識1、朝倉 麻衣1、永山 志穂1 (1. 宮崎県食品開発センター)

キーワード:仕上げ茶、官能評価、QDA

【目的】荒茶の品質評価は,全国茶品評会等において審査方法や欠点を表現する用語が確立されている.一方で,仕上げ茶については,香りや味を表す用語は数多くあるが,用語の整理や評価方法は一般化されていない.仕上げ茶の官能特徴を評価する方法が確立できれば,消費者に茶の特徴を分かりやすく伝えることができ,消費者が好みの茶を選ぶ際に有益な情報となる.評価結果を消費者と共有するためには,官能特徴を消費者が理解できる用語で表現し,評価する必要があるが,この課題はQDA(Quantitative Descriptive Analysis)法によって解決できる可能性がある.しかし,QDA法は用語開発から定量評価までのプロセスにおいて次々とサンプルを提供・評価することから,効率的な試験遂行のためには,茶の調製方法等を含めた試験設計が必要である.そこで本研究では,QDA法 による仕上げ茶の特徴評価を目的とし,5種類の仕上げ茶を用いて検討を行った.
【方法】試験の設計に当たっては,茶の調製方法を全サンプル統一すること,淹れたての茶を評価すること,3時間×5セッションで試験が完了することを前提条件とした.茶の調製方法は,容量約350 mlの急須を使って再現よく調製できることなどを考慮し,予備試験を行いながら決定した.QDA試験は,一般消費者から募集して訓練を経た12名をパネルとし,用語出し,用語の整理,評価トレーニング,試し評価,本評価の手順で実施した.
【結果】決定した試験設計によりQDA試験を行った結果,29語の評価用語が開発され,このうち24語でサンプル間に有意差が認められた.さらに,主成分分析を行うことで,特徴の違いを一元的に把握することができた.QDA法は,適切に試験設計を行うことで,仕上げ茶の特徴評価に有用であると考えられた.