日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Dp] 消化、吸収

2024年8月31日(土) 14:15 〜 16:45 D会場 (3F N324)

座長:小酒井 貴晴(山形大学)、福永 健治(関西大学)、小林 功(農業・食品産業技術総合研究機構)

14:45 〜 15:00

[3Dp-03] Pro-Hyp の Caco-2 細胞膜透過挙動の解明

*中島 望吾1、李 西西1、坂野 新太2、松井 利郎2 (1. 九大・院・生資環、2. 九大・院・農)

キーワード:コラーゲンペプチド、Caco-2 膜、透過試験、LC-MS、PepT1

【目的】Gly-Pro-Hyp 反復配列を有するコラーゲンの消化分解物である Pro-Hyp をはじめとするHyp含有ペプチドは腸管吸収される. Hyp 含有ペプチドは他のペプチドより高い腸管膜透過性を示すが,その要因は不明である. そこで,本研究では腸管上皮モデル細胞である Caco-2 細胞を用いた透過試験を実施し,Pro-Hyp の透過性に関わる因子の解明を試みた.【方法】配列および構造因子を明らかにするため, Pro-Hyp, Hyp-Pro, Pro-Pro, Hyp-Gly および Gly-Sar(GS)を対象としたCaco-2膜透過試験を実施した(ペプチド濃度:1 mM,透過時間:60 min). 次いで, PepT1 基質であるGS(10mM)を用いた Pro-Hyp の透過試験を実施した (透過時間:30 min).各試験では Caco-2 細胞を transwell(PET膜, 膜径1.0 µm)に播種し, 経上皮電気抵抗値 > 400Ω/cm2 の単層膜を用いた.ペプチドの定量は TNBS を用いたアミン誘導体化 LC-TOF/MSにより行った.【結果】各ペプチドの透過量(nmol/cm²)はPro-Pro (0.12) > Pro-Hyp (0.11) > GS (0.088) > Hyp-Gly (0.074) > Hyp-Pro (0.060)であり, Pro-Pro, Pro-Hyp は GS より高い透過性を有することが示された. 一方,Hyp-Gly, Hyp-Pro は GS より低い透過性を有し, N 末端 Hyp は膜透過に抑制的に働くことが示唆された. GS 共存下では, Pro-Hypの透過量(nmol/cm2)は有意に減少した(Pro-Hyp, 0.31; Pro-Hyp + GS, 0.19).以上より, Pro-Hyp は PepT1 を介して輸送され, 透過性は PepT1 に対する親和性により決定されると推察された.