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[3Fp-05] 香気成分β-カリオフィレンが血管に及ぼす影響と経口と吸入での体内分布比較
キーワード:β-カリオフィレン、血管変性、経口投与、吸入
【目的】β-カリオフィレン(BCP)は, 香辛料に含まれる揮発性の二環式セスキテルペノイドである. カンナビノイド受容体(CB2受容体)をはじめとしたいくつかの受容体のリガントとなり, 経口投与されたBCPは抗炎症作用や抗酸化作用などの作用を示すことが報告されている. 我々は以前,BCPを吸入したマウスの血清や臓器でBCPが検出されることを報告した. これらの研究は,BCPが経口・吸入いずれの経路においても体内移行し, 生体に影響を及ぼす可能性があることを示しているが, 投与方法の違いによるBCPの体内分布パターンの差の有無, 吸入によって示される生理活性など不明な点が多い. 本研究では, ①ニコチン誘導性血管変性に対してBCP吸入が及ぼす影響評価と②経口投与もしくは吸入したBCP体内分布パターン比較の2つの実験を行った. 【方法】①4週齢オスddyマウスを用いた. BCP吸入は週3回, 60分間行った. 実験開始から2週間後に腹部大動脈を回収し, 病理解析を行った. ②BCP経口投与群(BCP0.04mg/kg), BCP吸入群(BCP吸入60min)の2群に群分けし, 経口投与群は30min後, 吸入群は吸入60min後に血清と各臓器を回収し, GC-MSで測定した. 【結果】①Nicotine群では, 細胞外マトリックス分解酵素であるMMPs活性の上昇を通じ, 血管壁の線維成分の破壊と力学的な血管の硬化が確認された. これらの変性はNicotine+BCP群で抑制された. ②両群で血清と臓器でBCPが検出された. それぞれの臓器で検出されたBCPを血清濃度で除した数値を比較した結果, 嗅球, 脳, 精巣周囲脂肪組織および褐色脂肪組織で, BCP吸入群がBCP経口投与群よりも有意に高値を示した.