日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Ga] 抗腫瘍、抗炎症、抗アレルギー

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 G会場 (3F N305)

座長:米谷 俊(ファーマフーズ)、杉浦 義正(水産大学校)、高杉 美佳子(九州産業大学)

10:15 〜 10:30

[3Ga-06] 島根県西ノ島町産の食用褐藻における渋抜き前後の抗アレルギー性

*杉浦 義正1、三角 彰太2、山谷 裕昭3、中西 正美4、平田 文久4、林 裕一5、村瀬 昇1 (1. 水産機構水大校、2. 西ノ島町、3. ノア隠岐、4. JFしまね、5. 岡部・海洋事業部)

キーワード:食用褐藻類、フロロタンニン、抗アレルギー、渋抜き

【目的】我々は西ノ島町産ツルアラメの抗アレルギー効果やその有効成分(フロロタンニン)1),サプリメント原料粉末の製造工程におけるフロロタンニンの変化2)を明らかにした.しかし,ツルアラメを一般食品へ応用する場合,嗜好性の問題で渋抜き(フロロタンニンの低減)が求められる.本研究では,渋抜き前後の成分比較や抗アレルギー性を検討した.また,比較原料の対照として、西ノ島町産アラメを使用した.
【方法】アラメとツルアラメを約10時間,水道水で釜炊きし,送風乾燥後,渋抜き前の乾燥原料とともに粉砕機を用いて微粉末を作製した.その微粉末に対して80%メタノール(80M)で成分抽出を行い,80M抽出物を調製した。各80M抽出物中のフロロタンニン含量はFolin-Denis法で計測した。2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl(DPPH)ラジカル消去能,および耳介浮腫(アレルギー性炎症モデル; ICRマウス)と脱顆粒(肥満細胞モデル; RBL-2H3細胞)による抗アレルギー試験で生理活性を評価した.
【結果】抽出物の収量は,渋抜き前に対して渋抜き後は約1/6~1/8だった.何れの褐藻も,渋抜き後80M抽出物ではフロロタンニンが検出されず,DPPHラジカル消去能はみられなかった.一方,両褐藻で渋抜き前後ともに80M抽出物はマウス耳介浮腫およびRBL細胞の脱顆粒を抑制した.よって,渋抜き前80M抽出物の有効成分はフロロタンニンであり,渋抜き後80M抽出物はフロロタンニン以外の成分である可能性が示唆された.また,アラメとツルアラメは概ね同等の効果だった.1) Sugiura, Y. et al., Algal Res., 58, 102398, 2021. 2) Sugiura, Y. et al., Food Sci. Technol. Res., 30, 261, 2024.