日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[3Gp] 豆、イモ

2024年8月31日(土) 14:15 〜 16:30 G会場 (3F N305)

座長:本多 裕司(石川県立大学)、小舘 琢磨(静岡県立農林環境専門職大学)

16:15 〜 16:30

[3Gp-08] やまのいも「きたねばり」の褐変原因物質の同定

*山村 広大1、中澤 洋三2 (1. 東京農業大学大学院生物産業学研究科食香粧化学専攻、2. 東京農業大学生物産業学部食香粧化学科)

キーワード:やまのいも、「きたねばり」、ペルオキシダーゼ、ポリフェノール、褐変

【目的】 「きたねばり」はイチョウイモとナガイモを交雑させた品種である.「きたねばり」は両種の優れた特性を持つ高品質な品種であるが,摩砕や切断などの加工時に褐変しやすい特徴も有している.先行研究により「きたねばり」の褐変現象は,ペルオキシダーゼによって引き起こされている可能性が分かっており,この反応は活性酸素である過酸化水素を基質として,ポリフェノールを酸化重合させるものと考えられる.しかし,褐変の主な原因となっているポリフェノールは未だ判明していないため,本研究ではHPLCやNMRなどの機器を使用し,「きたねばり」の褐変に関与するポリフェノールを同定することを目的とした.
【方法】 非褐変状態の「きたねばり」抽出液を得るために,「きたねばり」担根体(首部)を一度冷凍してからハンマーにて粉末状にし,ブランチング処理した.それを70%メタノールで抽出し,得られた抽出液をSep-Pak Plus C18 Cartridgeに供した.各濃度のメタノール水溶液にて分画し,溶媒を除去した後,ペルオキシダーゼと過酸化水素で発色試験をした.発色が確認できた画分について,ODS-3カラムによるHPLC精製をメタノール濃度のグラジエント溶出にて行った.
【結果】 Sep-Pakで分画したところ,30%に最も濃い赤色の発色が確認された.10%と50%にも発色が見られたが,主要な褐変成分ではないと判断した.30%画分を目的物質溶出画分としてHPLC分析したところ,メタノール濃度50~70%あたりに目的ポリフェノールを含む可能性のあるピークを確認することができた.今後はフラッシュカラムを用いて分画した後,HPLCで精製し,得られた画分を構造解析して同定する予定である.