日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[2Bp] フレーバー物質,色素

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 B(S3)会場 (3F N322)

座長:伊藤 彰敏(あいち産業科学技術総合センター)、笹木 哲也(石川県工業試験場)、熊沢 賢二(小川香料)

15:30 〜 15:45

[2Bp-03] 「山幸」を用いた北海道ワインの香気成分による特徴

*南 典子1,8、田辺 由美2、阿部 眞久3、櫻井 昌文4、樺島 文恵4、田島 大敬5、高橋 克幸6、中川 理7、山口 昭弘9、曾根 輝雄2 (1. 北海道大学大学院国際食資源学院、2. 北海道大学大学院農学研究院、3. NPO法人ワインクラスター北海道、4. LECOジャパン、5. 北海道ワイン㈱、6. 富良野市ぶどう果樹研究所、7. 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院、8. (一財)日本食品分析センター、9. 酪農学園大学)

キーワード:香気成分

【目的】北海道で栽培,醸造されているワイン用ぶどう品種「山幸」を特徴づける香気成分と香りの関連性を明らかにするとともに,山幸によるワインオフフレーバーに対するマスキング効果について解明する事を目的とした。
【方法】分析方法としては,北海道産ワインサンプル(ピノ・ノワール,ツヴァイゲルト,山幸)について,GC-TOFMSを用いて,「山幸」を特徴づける香気成分と官能検査におる香りの特徴について調査した.また,「フェノレ系」と呼ばれるオフフレーバー成分である4-ethylguaiacol,4-ethylphenolの標準液を調製してワインサンプルに添加して,官能検査によるマスキング効果試験を行った。
【結果】GC-TOFMSから測定されたサンプル間で有意差の大きい化合物と官能検査の結果を用いて主成分分析を行い,他の品種と比較して「山幸」に特徴的な香気成分及び香りについて検証した,その結果,山幸にはGeraniol,Linalool ethyl ether,Linalool oxide,Bois de Rose oxide,Vitispirane,2-Hexen-1-ol,4-ethylguaiacol,4-ethylphenolが有意に多く存在しており,標準品を用いて定量を行ったところ,ワインオフフレーバーである4-ethylguaiacol,4-ethylphenolが他のワインより多く含まれていた一方,有識者による官能検査でその香りを感じられなかった.そこで,改めてこの2成分をワインサンプルに添加して官能評価によるマスキング効果試験を行った。ピノ・ノワール及びツヴァイゲルトではオフフレーバーが強く感じられたが,山幸では低かったことから,山幸にはフェノレ系の香りをマスキングする効果がある可能性が示唆された。