15:15 〜 15:30
[2Ep-02] 大動脈循環不全を起点とする動脈石灰化新規モデル動物の作出
キーワード:血管石灰化、動脈硬化
【目的】栄養血管狭窄を起点とする大動脈内循環不全は大動脈変性の原因となり,最終的には大動脈瘤破裂などの致死的な疾患に至ることが明らかになっているが,その病態生理は十分には解明されていない.これまでの研究で,我々は動脈内循環不全を誘導したモデル動物において,リン酸カルシウム沈着を伴う大動脈硬化が誘導される可能性のある条件を見出した.リン酸カルシウム沈着は大動脈石灰化の起点であり,動物モデルの確立に成功すれば,より包括的な研究が可能になり,栄養学的研究を新たに展開させることができると期待される.この発見をもとに本研究では,大動脈にリン酸カルシウムが沈着する新規モデルの作出を試み,その病理解析を行った.
【方法】6週齢のオスSDラットを6日間順化した後,腹部大動脈にカテーテルを挿入し,カテーテルの上から血管を結紮することで大動脈循環不全を誘導した.処置後,24時間,48時間で解剖を行い,腹部大動脈の病理解析を行った.
【結果・考察】大動脈の場所により循環不全の誘導度合いが異なるため、本研究では循環不全の程度が最も強い領域を対象に病理解析を行った。カルシウム沈着面積は未処置と比較して処置24時間で増加傾向,処置48時間で有意に増加した.中膜の厚みや膠原線維の陽性面積は未処置と比較して処置24時間,48時間で差はなかった.弾性線維の変性領域は未処置と比較して処置24時間,48時間で有意に増加し,中膜領域の核陽性面積は未処置と比較して処置24時間,48時間で有意に減少した.血管平滑筋の収縮型陽性面積は未処置と比較して処置48時間で差はなかった.血管平滑筋の合成型陽性面積は未処置と比較して,処置48時間で有意に増加した.動物で観察された病理像はヒト大動脈で報告されるものと一致しており,本モデルが新たな大動脈石灰化モデルとして栄養学研究に利用することのできる可能性が示された.
【方法】6週齢のオスSDラットを6日間順化した後,腹部大動脈にカテーテルを挿入し,カテーテルの上から血管を結紮することで大動脈循環不全を誘導した.処置後,24時間,48時間で解剖を行い,腹部大動脈の病理解析を行った.
【結果・考察】大動脈の場所により循環不全の誘導度合いが異なるため、本研究では循環不全の程度が最も強い領域を対象に病理解析を行った。カルシウム沈着面積は未処置と比較して処置24時間で増加傾向,処置48時間で有意に増加した.中膜の厚みや膠原線維の陽性面積は未処置と比較して処置24時間,48時間で差はなかった.弾性線維の変性領域は未処置と比較して処置24時間,48時間で有意に増加し,中膜領域の核陽性面積は未処置と比較して処置24時間,48時間で有意に減少した.血管平滑筋の収縮型陽性面積は未処置と比較して処置48時間で差はなかった.血管平滑筋の合成型陽性面積は未処置と比較して,処置48時間で有意に増加した.動物で観察された病理像はヒト大動脈で報告されるものと一致しており,本モデルが新たな大動脈石灰化モデルとして栄養学研究に利用することのできる可能性が示された.